最近読んだ本 読書memo 002
ヴァーチャルとは何か?―デジタル時代におけるリアリティ(ピエール・レヴィ/昭和堂)
「ヴァーチャルなものは決して決してリアルなものと対立するものではない」ということは僕自身も共有している前提です。著者はリアル/可能/アクチュアル/ヴァーチャルを異なった四つの存在様態として捉えることでヴァーチャルについての概念を掘り起こしています。実践の中での言語化はまた別のタスクとしてやり続けなければなりません。それは決して従来のVRシステムの開発等ではありません。
徹底討論 私たちが住みたい都市 身体・プライバシー・住宅・国家 工学院大学連続シンポジウム全記録(山本理顕 編/平凡社)
都市についてのこれからを建築家が提示できなくなっているということ、そしてその状況に対して建築家たちが自覚さえできていないことを表しているーという意味でとても面白かった。(特に『国家』磯崎新×宮台真司)このようなシンポジウムを企画した山本理顕氏は自覚的なのかもしれません。ただ、建築家に対する討論相手がもっと多様であればより面白かったと思います。
インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門(白田秀彰/ソフトバンク新書)
HotWired Japanでの連載中から時々読んでいたので楽しみにしていました。「インターネットの」ということよりも法思想の流れや個人と権利=法についてのイェーリングからの引用等が興味深かったです。特に個人と権利=法については実際に考える場面が連続しているので。
著作権とは何か―文化と創造のゆくえ(福井健策/集英社新書)
上記の流れで、こちらも。こちらは著作権に絞られた分かりやすい入門書。
バイオポリティクス―人体を管理するとはどういうことか(米本昌平/中公新書)
この本に限らず状況は理解できます。ただ、やはり科学・技術と政治・経済が繋がる上での重要なインターフェイスを僕たちは未だ持ち得ていません。
ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか(入不二基義/NHK出版)
「....「私」の強度を上げることが、同時に「私」を消去することへの接近である。」に至る過程はちょっとわくわくしました。しばらく前から課題図書になっている鬼界彰夫のウィトゲンシュタイン本も読まなければ。それからこのシリーズは小著ながら本当に秀逸な作品が多いですよ。(全て読んだわけではありませんが)
啄木・ローマ字日記(石川啄木/岩波文庫)
なぜか久しぶりに石川啄木。といってもこのローマ字日記は読んだことがありませんでした。ストイックさもスッパさもユルさも全てが激烈過ぎます。書棚から新編 啄木歌集を引っぱり出して読んでしまいました。