太陽
アレクサンドル・ソクーロフ監督の太陽を見ました。上映館が非常に少ないこととお休みというのもあって立ち見がでるほどの混雑。昭和天皇を一個人として描いた悲喜劇。本当に笑いどころも満載なんですよ。特に昭和天皇と科学者(研究所所長)とのシーンは爆笑しました。その一個人の内における悲喜劇性を演じるイッセー尾形はすごいと思いました。昭和天皇を見たアメリカ兵が「チャップリンに似ている」と騒ぐシーンがありますが、僕としてはイッセー尾形がチャップリンにダブって感じました。
歴史については、事実(だと考えられている事)の積み重ねによって知るーということも大切ですが、フィクションという手法によってイメージ=感覚するーということも大切です。この映画において「こんな事実はない」等の議論は意味を持ちません。
基本的に静かな映画なのですが、かすかに流れる暗号通信のノイズや羽音、誇張される鉛筆の音、そして最後のバッハの「無伴奏チェロ組曲第5番」に玉音放送をかぶせたり等、音も面白かったです。
映画『太陽』オフィシャルブックを思わず買ってしまいました。