ルネッサンス ジェネレーション’07
ルネッサンス ジェネレーション’07へ行ってきました。今年のテーマは[情動] —欲望・操作・自由—。
「人は必要のない情報は見ない/聞こえない」と言い切るニューロマーケティング研究者のクリスチャン・シャイア氏や情動(affect)の次元に直接働きかけることによって不可視化する権力と身体の関係性を考える酒井隆史氏の話し等はとても興味深く今日のイベント全体の中での発展的論点を投げかけるような話しだったのですが、その二人はビデオ出演だったので残念ながら最後のライブとしての総括討論にはあまり繋がりませんでした。
情動が創造性に大きく関わるということを多くの研究者らは言います。にも関わらずその実践のフィールドがマーケティングに向かうというのが何とも納得いかない。というかそれだけでは絶対に面白くないでしょう。クリスチャン・シャイアがロルフ・ファイファーと共に書いた知の創成の中でロボットの設計、製作、作動を通じて示した「設計に基づく手法」が環境の設計、製作、作動へと向かわなかったのはなぜだろう。
セカンドライフの話しやネットワークコミュニケーションの話しはああいう流れでは触れない方がよかったのでは。ちなみに僕はネットワーク空間における身体性はあると考えています。ある/ないというより環境=空間の位相により身体性は変容する(もしくは変容するように見える)というのは身体性認知科学から考えても自明なことだと思います。
下條信輔さんのこのテーマに関わる進行形の研究成果をもっと聞きたかったですね。監修者がゆえにそうもいかないのでしょうが。いずれにしてもこのイベントを11年も続けている監修者の下條さんとタナカノリユキさんはすごいと思います(もちろん主催者の金沢工業大学も)。と同時にちょっとうらやましい気もします。