東さんのブログで知った『特別シンポジウム「アキバから考える ニッポンポップカルチャーの未来」』へ行きました。『デジタルアートフェスティバル東京2007』というイベントのプログラムとして行なわれたようです。
会場に入ると偶然セミトラの菅井くんがいてびっくり。最近続けて東さんの本を読んで話しが聴きたくなったとのこと。始まるまで近況等を話す。
シンポジウムは東浩紀さんと井上伸一郎氏、クワクボリョウタ氏、森川嘉一郎氏の4人がゲストで司会が森山朋絵さんという東京都現代美術館学芸員の方だったのですが、この司会者がとんでもなかった。ただでさえとらえどころのないテーマの上にゲストの立ち位置も様々なので、本来なら司会者が焦点を絞ったり4者のコミュニケーションの潤滑剤になるべきなのですが、最初にゲストが一通り順番に自己紹介&今日のテーマについて話した後にその司会者は「では、私の方からも...」と自分たちの側の紹介をゲストよりも長く話し始めたのです。ゲストの話しと自分たちの側の活動を絡めて今日のテーマの入口に繋げるという展開は全くなく、ただ滔々と自分たちの側はこんなことやっていますという話しを。
結局このシンポジウムが何だったのかというと、アート(もしくはそれに属するメディアアート)という制度の側がおいしいネタとして海外も注目するポップ(オタク)カルチャーを取り込もうと必死になっている。その代表である司会者はゲスト間のコミュニケーションなんて全く関心はなく自分の側にとって都合のいい話しだけを拾い上げて自分たちにとっての正当性を強化するー。そんな既定のレポートのような場に見えました。これではゲストのみなさんがかわいそう。
東さんが「アートという制度がポップ(オタク)カルチャーのありように適合しない。そもそもポップカルチャーとアートが結びつく必要なんてない。」という至極真っ当なことを面と向かって言ってもその司会者は軽くスルーしていました。後半で何とかしようと東さんや森川さんが興味深い問題を提起していたのですが、ディスカッションには至らず。東さんの「ポップカルチャーの輸出と日本語の問題」や森川さんの「アキバのダイナミックな変化とオーディオ〜電子部品〜家電〜パソコン〜アニメマンガと連なる輸出されるモノという連続性」の話し等は突っ込みがいのある話しだったのですが。
このシンポはNHKで放映するらしい(12月27日17:00~17:54NHK-BS2「BSフォーラム」にて)ので、その影響があったのでしょうかね?にしてもこんなに分かりやすい旧態側の攻撃的自己防衛を公共(公共放送含む)でやるのはおかしいし、それに外の人を巻き込むべきではないでしょう。