フィンランドバーチ
今日はいくつかの素材についての打合せと検証。
久しぶりにフィンランド(ホワイト)バーチ合板を使おうと思いニッタクスの担当の方と打合せをしたのですが、現時点ではホワイトバーチ合板は供給できないとのこと。昨年、温暖化の影響でフィンランドの高地の氷が解け出したためバーチが通常通りに刈り出すことができなかったそうです。2月末頃には何とか供給できるようですが、今回は間に合わないー。
ちょうどmattを始めたころにフィンランドバーチ合板を知って、外苑前のOFFICEやm-floの☆Takuのスタジオ等初期のプロジェクトで多用していました。フラットな木目や面の淡白色や小口の積層が美しく、材として均質で音の反響もよいのでとても気に入っていて、mattのほとんどの什器家具もフィンランドバーチ合板で造りました。またフィンランドの森林では1本伐採すると3本植林するといった計画植林が徹底していること、合板の接着剤はホルムアルデヒド放散量の少ないフェノール樹脂接着剤を使っていることで環境に対する負荷も比較的少ない(「環境にいい」というわけではありませんが)ことも素材選択の理由の一つになっていました。
フィンランドの他にロシアがバーチの原産国なのですが、強いユーロが続く現在ではロシアはそれらのバーチ材をほとんどヨーロッパにしか回さず日本には全然回ってこないそうです。(ロシアは外貨準備のユーロへの比率をあげているらしい)
さらに木材に関しては、アジアの大きな木材原産国だったインドネシアの木材輸出量が激減しているそうです。これはインドネシアの元々の輸出木材はその多くが密伐だったため近年インドネシア政府がそれを厳しく取り締まり始めたことによります。そして北京五輪を控えた中国は建築資材として木材を手当たりしだい買いあさっています。そんな中日本では国産材は高いということで売れず、林業の就業人口はどんどん減り、管理をする人間がいなくなるから森林は荒れていくーというような状況が(多層な現象の一部分として)起こっている。
あらゆる環境に関わることに言えますが、環境保護という観点だけでは問題は決して見えてきません。特に自然科学的視点を持たない環境保護は逆に環境を壊すことさえある。木材の問題は特にそのことを感じさせます。
日本林業調査会 (2007/04/02)
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