締め
岡田利規さんや東浩紀さんが出演するということでエクス・ポナイト vol.3(ポ祭!!!)に行ったのですが、会場に行くと既にsold outということで入れず。残念な年末。
気を取り直して夜はATAKの忘年会のためet sonaへ。おいしい食事で復活。mattでは忘年会ができなかったので、個人的にもこれで締めということで。
いろいろあり過ぎた2008年、「大切にする」ということを考えた一年でした。2009年もよろしくお願いします>みなさま。
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岡田利規さんや東浩紀さんが出演するということでエクス・ポナイト vol.3(ポ祭!!!)に行ったのですが、会場に行くと既にsold outということで入れず。残念な年末。
気を取り直して夜はATAKの忘年会のためet sonaへ。おいしい食事で復活。mattでは忘年会ができなかったので、個人的にもこれで締めということで。
いろいろあり過ぎた2008年、「大切にする」ということを考えた一年でした。2009年もよろしくお願いします>みなさま。
12月29日発売の商店建築2009年1月号で「MY FAVORITE HOTELS デザイ ナーが選ぶお気に入りホテル&旅館ベスト3」という新年号特別アンケート企画に回答しています。
僕が選んだベスト3は以下の通りです。
1.テルメ ヴァルス THERME VALS(スイス・ヴァルス VALS)
2.ザ・マーサーホテル THE MERCER HOTEL(ニューヨーク NY)
3.ザ・スタンダード ウェストハリウッド THE STANDARD WEST HOLLYWOOD(ロサンゼルス LA)
2や3に関しては回答する時の気分で別の答えになることもありますが、1に関しては必ずベスト3には入れると思います。ちなみに全体集計の結果は、パークハイアット東京(西新宿)、アマンダリ(バリ島)、俵屋(京都)の3つが同票数で1位でした。
ホスピタリティとか快というものは完全な受動性の中では立ち現れないと思いますし、グローバルな流れとしてのとにかく過剰な装飾+過剰なサービスといった方向には個人的にはあまり惹かれません。回答にも書きましたが「ゲームのようなホテル」を「ゲームのようにデザイン」してみたいです。
久しぶりに商店建築をじっくり読んだらBACH幅さんの連載「こんな本、どうですか?」が始まっていました。第一回目の今回はザハ・ハディッド Zaha Hadid設計の「Neil Barrett 青山店」のための書棚を提案しています。
駒場の池上研究室で池上さんと岡田利規さんの三人で打合せ。岡田さんは『三月の5日間』、『フリータイム』などで知られる演劇ユニットチェルフィッチュの主宰で演劇作家なのですが小説も書かれていて、『わたしたちに許された特別な時間の終わり』、『楽観的な方のケース(新潮2008年6月号)』などの著作があります。
打合せの内容は、池上さんと僕がこれからつくろうとしている〈new game〉に関する話で、行為や言語のマイクロスリップの話からはじまりあちらこちらに広がっていきとても楽しかった。池上さんや僕が思っていた通り岡田さんのやっていることとも大いに重なっていて、一緒にプロジェクトをやりましょうということになりました。継続的に続けるプロジェクトになりますが、まずは2009年3月に予定されているUTCPのイベントでのプレゼンテーションが第一目標になります。これについてはまた追って書きたいと思います。
その後、中目黒に戻って打合せを一本。そして夜は再び駒場へ向かい池上研究室の忘年会に参加しました。遅れていったのでみんな既にできあがっていて生命力の神秘についてwー要はとても書けないようなバカな話で盛り上がっていました。年末のギリギリに来てサプライズ!ニュースもありましたし。
それにしても「池上さんは悪人です」。
ここ最近の新刊を中心にマンガをまとめ買い、まとめ読み。
下二冊だけは少し前のもの。このようなまだ出会っていない傑作ってたくさんあるんでしょうねえ。
祭日ということで集中して原稿を仕上げる。参考本にはなりませんでしたが、おかげでダーウィン本が増えました。来年2009年はダーウィン生誕200年&『種の起原』出版150年とダーウィンの年です。
書店に行くとカルチャー誌やファッション誌がこぞって「本特集」をやっていましたが、何れも「本特集」にはみえませんねえ。
締切が間近に迫った原稿が遅々として進まないので、リフレッシュに新宿の書店巡りに出かけました。ジュンク堂、紀伊國屋、ブックファーストと大型書店だけを廻っていくとジュンク堂の棚の充実度が際立っているようにみえます。実際僕が本を購入する量もこの三店ではジュンク堂>>>>>ブックファースト>紀伊國屋という感じ。書棚の分類の最小単位が非常に細かいことと、分類をまたぐ書籍や分類にあてはまらない書籍に対して複数箇所の書棚に置くことである程度ではありますが柔軟に対応していること、そして専門書の充実が大きいです。
そして原稿とは全く関係のない書籍を買って帰ることになるわけです。
ラフォーレ原宿で催されたHARAJUKU PERFORMANCE + (PLUS)へ。ATAK渋谷慶一郎くんの久々のコンピュータによるライブを観に行きました。
歪みのない音に満たされた空間は圧巻でした。「come with me」の未完成版が僕は好きでよくDJで使っていましたが、とてもダイナミックな曲に進化していて驚きました。エバラくんによる映像もよかったです。ATAKは年明けにはヨーロッパを廻るようです。今日は30分プラスアルファという限られた時間でしたが、そこでは思う存分やってくれるのではないでしょうか。
終了後みんなでLOTUSで楽しく打上げて帰りました。
前日のインストアライブに続いて代官山UNITで行なわれたライブraster-noton.unitに行きました。raster-notonのUNITでのライブはすっかり定着した感があり客層も随分広がったような気がします。フロアで交わされていたどうみてもギャルな方々の会話。
いまだれ?
エス・エヌ・ディー
みたいな
てか
まぁ普通
みたいな
脚色はありますが、本当にこれに近い会話がなされていましたよ。そして「あたし彼女」はすごい展開をみせております。
ICCで開催中の展覧会「ライト・[イン]サイト:拡張する光,変容する知覚」を観てきました。先日は関連イベントのシンポジウムしか観ることができなかったので。
コンパクトな展覧会なのですが、印象的な体験がいくつかありました。特に《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》2008年エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド、《You and I, Horizontal》2006年アンソニー・マッコールは閉じた空間でしかできない体験の深度/強度において秀逸だと思います。こういうグループ展はキュレーション力に因るところが大きいのですが、四方さんさすがです。空間のレイアウトの重要性も再認識できる展覧会です。これは特に平日か週末でも午前中の人が少ない時間帯で観ることをおすすめします。
その後、BLUE SQUARE CAFEに移動して港千尋さん、ブックファースト新宿店店長梶野さんと淀渕さんとで打合せ。来年2月に開催予定の港さんの本のイベントについての企画で、僕もトークイベントに参加させていただく予定です。詳細決まりましたらお知らせします。それにしてもこの建物「モード学園コクーンタワー」のゾーニングは何度行っても分かりにくいです。
夜は青山ブックセンター六本木店にraster-noton インストアライブを観に行く。
イベントスペースではなく書店の売り場を営業時間中にも関わらずこのように使うのは日本ではあまりないことだと思いますが、こういうことはもっとあってもいいのではないでしょうか。
カールステン (carsten nicolai)はGRANBELL HOTEL SHIBUYAを愛用してくれているのですが、元々僕たちmattがデザインしていることを知らずにたまたま利用して気に入ってくれたので、そういうのは素直に嬉しいです。ロケーションが便利というのも大きいでしょうが。
アイデアの最新号に別冊で音楽CD付ヴィジュアルブック『raster-noton "aiff-tiff"』が付いています。
スイーツ(爆笑)の僕は確実にこれなんだと思います。
糖分が切れると、さすがに「歯をガタガタさせる、トンネル内に引きこもるなど」ことはありませんが、燃料切れのロボコンのように機能停止します。先日も渋谷で移動中にクリスピー・クリーム・ ドーナツ(渋東シネタワー内)を見つけて思わず並んでしまい、サービスで配られていたオリジナル・グレーズドも含めて一気に4個も食べてしまいました(しかも食後)。
このお店せっかくドーナツの製造工程を見ることができるのに空間のデザインが工夫されていなくてもったいないですね。
映像ディレクターの児玉裕一さんと対談しました。雑誌商店建築の特集「映像メディア空間」のための対談。
児玉さんはユニクロック(UNIQLOCK)で広く知られていますが、他にもミュージックビデオ(MV)、CM、番組などを多数手がけられています。ユニクロックや『シークレットシークレット/Perfume』ももちろんいいのですが、僕は特に『閃光少女/東京事変』のMVが大好きで、これは間違いなく僕が最も繰り返し見たDVDです。
児玉さんは「みえないものを体験として伝える」ということを映像でやっているという希有な人で、それが『閃光少女』やユニクロックにもよく現れています。それからみる側の視点の移動(動き)やみられる側の視点のズレの話等はとても空間的でいろいろ共感できる話も多かったです。科学館をつくる話や少女の話で思いっきり脱線してしまい編集やライターの方にとってはまとめにくい対談になったかもしれません。僕にとってはとても楽しい対談でしたが。
photo by Semitransparent Design
rakugaki @ toilet in womb/communication system(shibuya tokyo/2005)
クライアント:STIJL
プロデュース:トランジットジェネラルオフィス
ディレクション&空間デザイン:matt
システム&デザイン:Semitransparent Design
実空間+ネットワーク空間を一つの空間として使い、コミュニケーションのきっかけをつくる環境システム。クラブという場での出会いをよりオープンにする仕掛け。男女それぞれのトイレに指で直接描くことができるラクガキボード(タッチパネル)を設置し、リアルタイムで双方向に書き込むことができる。伝統的なトイレのラクガキというフォーマットを使ってその場だけでのコミュニケーションを楽しんだり、それをきっかけに実際にフロアで待ち合わせをしたり...。
ヒマナイヌ2009望年会『GTV』に行ってきました。昨年も書いたかもしれませんが「忘年会」ではなく「望年会」。なぜか「ゼロ年代」と「アーキテクチャ」の話で盛り上がる。
いつもながらヒマナイヌらしい優しい会でした。
望年会の前に青山ブックセンター本店に立ち寄って以下を購入。本日発売の『熱学思想の史的展開』がすぐに手に入れたかったので。文庫全3巻による復刊は著者曰く「思いきってかなり手を加え、大幅に加筆・訂正をほどこし、自分では決定版とでも言うべきものになった」そうです。下條さんの久々の著書も楽しみです。ちくま12月気合い入っていますね。
次のSignができる霞が関ビルの増築部の仮囲いが取れてようやく全貌を現しました。
日本で最初の高層ビルである霞が関ビルディングは40周年ということでこんなポスターが貼られています。
昭和43年=1968年はチェコスロヴァキアでプラハの春、フランスでは五月革命が起こり、日本でも全共闘の活動が激化した年。『2001年宇宙の旅』が公開され、週刊少年ジャンプが創刊したのもこの年だそうです。
前田夫妻の影響で久しぶりにWOWOWでボクシングを観る。オスカー・デラ・ホーヤvsマニー・パッキャオ。こう見えても僕は学生時代体育会ボクシング部に所属していてかつてはボクシングマガジンなども愛読するくらいのボクシング好きでしたが、それは「悪魔王子」ナジーム・ハメドや「ゴールデンボーイ」オスカー・デラ・ホーヤの四階級制覇の頃まで。なのでマニー・パッキャオはYou Tubeでしか観たことがありませんでした。
今日初めてライブ中継で観た「パックマン」マニー・パッキャオはネ申、でした。デラ・ホーヤ圧倒的有利の予想の中圧勝。あの回転の速さと左ストレートの伸びは驚異的。階級が違うとはいえバダ・ハリやルスラン・カラエフとは比べ物にならないスピード&テクニック。久しぶりにテレビ観ながら一緒に左右の連打を撃ってしまいました。思い出しましたよ、ボクシング最高ーって。
ICCでの展覧会「ライト・[イン]サイト:拡張する光,変容する知覚」の関連イベントとして行なわれたシンポジウム「アートと科学:光と知覚をめぐって」に行ってきました。
池上高志さんが出ていたので面白い交換を期待していたのですが、残念ながらシンポジウムになっていませんでした。出展アーティスト自身による解説はあっていいと思うけどそれとシンポジウムは分けるべきですし、そういう場に池上さんのような人をよぶ必要はないよねえ。詳しいことは書きませんが、あのアーティストたちの薄ら笑いははっきり言って不快でした。
それと展覧会は別で面白そうなのであらためて時間をとってじっくり見に来ようと思います。
ネネム(でぶねこ♂6歳)の調子がいよいよ悪いので病院を代えることにしました。前の病院はとても良心的でよかったのですが、小さ過ぎて設備等が不充分だったため。新しい病院は設備がしっかりしており、これを機に一通り検査をしてもらいました。結果白血球値が基準値を大きく上まっていて考えられるのは炎症なのですが、今日の段階ではどこに炎症があるかは特定できず。尿結石が持病なのでおそらく膀胱だと思われるのですが今日の尿&血液検査では確定はできなかったのでしばらく薬を与えてまた後日検査してもらうことにしました。
それも心配ですが、ずっと6kgだと思っていた体重がいつのまにか6.5kgになっていてX線を見ても脂肪が胃を圧迫するくらいに満ちていました。特にこれからの年齢だと肥満は大きなリスクになるということでこれも先生に強く注意されました。分かっているのですがこれが結構大変なのですよ。特にネネムの場合ー。
病院に猫の年齢換算表なるものが貼ってありましたが、今ちょうど僕と同じ年齢なんだねえ。でこれからは一気に年上ですか。
日本繊維新聞(nissen)というアパレル業界の専門新聞があります。2008年11月20日付けの日本繊維新聞のファッショントークというページに久しぶりに原稿を書きました。今回、編集担当の方の許可をいただき(ありがとうございます>佐藤さま)このテキストを公開させていただくことになりました。
日本繊維新聞 繊維・アパレル・ファッション業界のニュース&情報
ファッショントークと言いながらもファッションの枠に関係なく好きなことを書かせていただいていますが、日刊紙ですので瞬発性優先ということで今回はちょうど読んだところだった濱野智史氏の『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』の紹介と感想を書いています。(基本的にはソーシャルウェアのヘビーユーザー未満の読者を想定しています)興味のある方は以下からどうぞ。
「アーキテクチャはデザイン可能か?」
「グーグル」の国内利用者数3090万人(2008年10月28日現在)、「2ちゃんねる」の利用者数930万人(2007年2月現在)、「ミクシィ」の会員数1500万人(2008年7月13日現在)、「ニコニコ動画」の登録者数930万人(2008年9月30日現在)。2000年以降に登場した主なウェブサービスの利用者(登録者)の数です。それぞれの利用者は多くが重複していると思われますが、それにしてもそれぞれがかなり巨大なコミュニティであるといえます。読者のみなさんも利用したことがあるか、利用したことがなくてもその名前を耳にしたことはあるのではないでしょうか。
最近出た濱野智史氏の『アーキテクチャの生態系—情報環境はいかに設計されてきたか』は「グーグル」「2ちゃんねる」「はてなダイアリー」「ミクシィ」「ユーチューブ」「ニコニコ動画」など、利用者の規模が「社会」にまで拡大したウェブサービス=ソーシャルウェアを「アーキテクチャ」として捉え情報環境を読み解こうという非常に興味深い—まさに今読みたかったー本です。
アーキテクチャとは一般的には「建築」や「構造」を指しますが、この本では情報技術(IT)によって設計・構築された、人々の行動を制御するネット上のウェブサービスを指しています。このアーキテクチャという概念はアメリカの憲法学者ローレンス・レッシグが『CODE』(2001年)という著書の中で論じたもので、「規範(慣習)・法律・市場に並ぶ、人の行動や社会秩序を規制するための方法」です。ちょっとこれでは分かりませんよね。この本では飲酒運転の問題を具体例として出しています。「飲酒運転=悪」という考えを教習ビデオ等によって再確認し、人々の価値観や道徳心に訴えかけるのが「規範」による規制。道路交通法による罰則が「法律」による規制。罰金を高額に上げるのが「市場」による規制。そして新しく導入に向けて検討されている「自動車にアルコールの検知機能を設置し、そもそも飲酒している場合にはエンジンがかからないようにする」という規制方法がレッシグの言うアーキテクチャです。濱野氏はこのレッシグの概念を継承しつつも、規制/抵抗という図式で議論を進めるのではなくアーキテクチャが持つ「いちいち価値観やルールを内面化する必要がない」「人を無意識のうちに操作できる」といった特徴を肯定的に捉え積極的に活用しようと多様なアーキテクチャのあり方をソーシャルウェアの生態系に分け入りながら模索していきます。僕はこのスタンスを全面的に支持します。そしてそれは濱野氏がこの本で対象としているネットのアーキテクチャだけではなく元々の意味である建築のアーキテクチャに関しても同様だと考えます。
この本では上記のソーシャルウェアのアーキテクチャとしての特徴がそれぞれ分析されていくのですが、やはり一番面白いのはニコニコ動画の「疑似同期」性についての論考でしょう。ニコニコ動画の特徴は動画の再生タイムラインを使って同じ現在を共有しているかのような錯覚(=視聴体験の共有)を疑似的に生み出すサービスであるーという指摘を最初に『Wired Vision』の濱野氏の連載「情報研究ノート」で読んだ時には正直はっとさせられました。アーキテクチャによって単に体験を生み出すのではなく体験の共有を生み出すということ、芸術作品(コンテンツ)が複製可能なのではなく<経験の条件>が複製可能であるということ。この分析はあらためて読んでも秀逸だと思います。
濱野氏は最終章で、これからのネットワークが隅々にまで浸透した社会において「ミクシィのように都市空間や集合住宅を設計し、ウィニーのように流通や再分配のシステムを構築し、ニコニコ動画のように現実空間にコメントを付与するようになるのかもしれません(「ニコニコ現実」)」と述べています。これらは僕たち(matt)が今までにプロジェクトとして取り組んできたことと大きく重なります。『not’ mansion』(2007年)は現実空間上のマンション(各住戸やパブリックスペース)とネットワーク空間上のSNSを可塑的レイヤー構造の連続するコミュニケーション環境と捉えて設計しマンションパッケージとして販売していこうという試みでした(このプロジェクトは残念ながら企画途中で消滅)。『sim. -as we may think-』(2004年)や『womb project』(2005年)は「ニコニコ現実」とまではいきませんが、現実空間にコメントを付与し距離の「疑似同期」を生み出したり、「ズレ」によるコミュニケーションの臨場感を作り出すという実験であり、コミュニケーションデザインの実装でした。
このような本、このような研究者の登場はこれからのアーキテクチャの設計&実装にとって有効な視座を与えるとともに、もう旧態のアーキテクトにはネットワークも建築も社会も設計できないということを示していると思います。これからはそれぞれの設計者・デザイナー・エンジニアと共に濱野氏のような情報社会の研究者や科学者などがチームを作りアーキテクチャを設計&実装していくことになるでしょう。それはこれまでもよくみられた異業種「コラボレーション」のような結果としてマーケティング的戦略にしかなりえないものではなく、アーキテクチャの生態系に取り込まれつつもその中で創っていくためにはもうそこからしか始まらない基点だと思います。そういう意味でもこの本はエポックメーキングな一冊になるでしょう。それからこの本はアーキテクチャの分析を通してのユニークな「日本社会論」にもなっています。それについてはこのボリュームの中では触れませんでしたが、社会論/文化論からみても楽しめる本になっています。みなさんぜひご一読を。
李明喜(mattキャプテン、空間デザイナー)
URL : http://www.mattoct.jp/