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せーの!

フェスティバル/トーキョー09春で上演された飴屋法水演出(平田オリザ作)の『転校生』を観に行きました。

飴屋氏の舞台は初めてだったのですが、衝撃を受けました。途中、突然響く無言の「どん!」と最後のシーンで女子高生たちによって繰り返される「せーの!」「どん!」が本当に強烈で、終わってからも体に響き続けてしばらく立つことができませんでした。時間と空間の複数性/ズレの現れが秀逸。これは舞台でしかできない。そしてそれは不可能性を引き受けつつ可能性へと向かうーようにみえました。

スティーブン・ピンカーの新作が出ていたのでジュンク堂で購入して帰る。

思考する言語 上<br />―「ことばの意味」から人間性に迫る (1) (NHKブックス 1130)
スティーブン・ピンカー
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思考する言語 中<br />―「ことばの意味」から人間性に迫る (2) (NHKブックス 1131)
スティーブン・ピンカー
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動く本

池上高志さんの本『動きが生命をつくる』が増刷で第三刷になったそうです。よかったですね。このまま増刷を重ねて更新もされていくような“動く本”になることを願います。

未読の方はぜひ!この本は全ての方におすすめします。

動きが生命をつくる<br />―生命と意識への構成論的アプローチ
池上 高志
青土社
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Living Library

2009年4月10日にオープンを控えたSign霞が関の現場ですが、いよいよ家具が納入されました。

中国の工場で製作していますが、家具に関していえば中国の工場のクオリティは格段に上がったと共に安定してきました。ただ、選択と監理は注意深く繊細にやる必要がありますが。


カレントアウェアネス-Rさんで知ったのですが、こんな“Library”もあるのですね。

2009年夏、デンマークの王城で世界最大規模のLiving Libraryイベント
「生きている本」を読んで偏見を乗り越える“Living Library”

徹底化されたアナロジーのようにもみえますが、実は本やライブラリーを考えるための視座も与えてくれそうです。「生きている本」ではない本(紙の本に限らず)でも双方向のコミュニケーションは生まれますから。

空間の際

建築の際という東京大学大学院情報学環・学際情報学府主催のトークイベントへ行ってきました。今回が最終の第5回だったのですが僕はこれが初めてでした。「空間の際」というテーマで、ゲストは建築家の原広司氏、数学者の松本幸夫氏、実世界指向インタフェース研究者の暦本純一氏のお三方。

物理的空間、社会的空間、情報的空間まではある程度重ねて考えることができるのですが、そこに数学的空間を持ってくるとアナロジーの罠に陥ってしまうか(松本氏の言うように)外界を全く必要としない数学的空間内=数学世界に閉じこもるしかなくなってしまう。なのですが、空間を考える人間にとって特に次元とか多様体といったトポロジーの世界は魅惑的で、つい誘われてしまうんですね。僕もかつて松本氏の著作よりも少し易しい『トポロジー:柔らかい幾何学』等を読んだりしていましたが、数学世界は遥かかなたでした。

原広司さんがこれまでも取り組んできて、この日のトークの最中でもしきりに考え続けていた「(位相)幾何学によって経験を記述できるようになれば建築や都市は全く描き換えられる」ということに少しでも可能性が生まれるとすれば、数学世界から外界へも軽やかに出てくることができる数学者が登場した時でしょう。それにしても「建築(空間?)は落ちるんだよ」と言いながら執拗に考え続ける原さんは素敵です。僕も京都駅の空間は大好きで、池上高志さんとやろうとしているプロジェクトを京都駅でやれたらいいなあと勝手に妄想したりしています。その件も含めてぜひ原さんともお話してみたい。

暦本さんはもう東京大学大学院情報学環がメインのようですね。今日は松本さんの数学世界に覆われてしまったのでhuman-computer-realworld系のお話はあまり聞けませんでしたが、暦本さんと原さんのガチのトークとかもまた別であれば面白そうだなあ。

終了後、先日の「建築雑誌」のインタビューでお会いしたぽむ企画の平塚桂さんに出会い、同じく「建築雑誌」の編集委員をされている建築史家の倉方俊輔さんを紹介していただきました。倉方さんは「非線形・複雑系の科学とこれからの建築・都市」という特集で池上さんにインタビューをされています。そんな微細なネットワークも発現した夜でした。

帰りに次元つながりでこれを購入。

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おとはここにある

夕方Sign代官山で池上高志さんと打合せ。一緒にやるということは新しい場をつくるだけでなくそれぞれが更新しなければ意味がないということを確認しつつ内容についてのディスカッション。やっぱり僕はあれも楽しいけどこれも楽しいーという状況がつくりたい。

打合せ後に池上さんと一緒に渋谷慶一郎くんも出演するFENNESZ/「BLACK SEA」LIVEへ。日曜日の夜なのにすごい人。渋谷くんのライブは様々な音のマテリアルに充ちた空間でした。エバラくんの音としてのヴィジュアルもどんどんすごくなっている。おとはここにありました。

FENNESZのライブは初めてでしたが、CDで聴くよりも“きれい”への志向が強く感じられました。2001年にリリースされた「エンドレス・サマー Endless Summer」は当時繰り返し聴いていましたが、あれは名盤だと思います。

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東京国際アニメフェア(TAF)2009

東京国際アニメフェア(TAF)2009に行ってきました。祭日のパブリックデーだったので予想はしていましたがすごい人混みでした。この日の来場者数は49,678人!だったそうです。出展者、来場者共にコスプレイヤーはあまり見かけませんでした。午前中に集中していたのでしょうか。

全部は観てまわれませんでしたが、気になったのは細田守監督の新作『サマーウォーズ SUMMER WARS』と吉浦康裕監督の『イヴの時間』(今回知りました)、それからアニメ製作会社STUDIO4℃と共同で新しいアニメスタジオ LUCENT4℃(L4C・エルフォーシー)を設立したルーセント・ピクチャーズエンタテインメントのブースで観た『Sync Future』というプロジェクトなど。『Sync Future』はなかなか迫力あるプロジェクトなので楽しみです。無事2009年内に刊行することを願っています。などと書きつつもミクやリンの写真もしっかり撮ってきましたがww

そんな盛り上がり感を観させられた後にこれを購入して読んでーそして少し考える。

現代視覚文化研究 3<br>(三才ムック VOL. 235)

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インテリアデザインの世界

日本建築学会の機関誌「建築雑誌」のインタビューを受けました。2009年6月号の「インテリアをめぐって」という特集ー。そもそも「建築の側からインテリアデザインの世界を」というまなざしが建築/インテリアの状況を現しているのでは、というやや攻撃的なお話をこちらから投げたのですが、インタビューアーの杉浦久子さん(建築家、昭和女子大学生活環境学科教授)と平塚桂さん(ライター、ぽむ企画共同主宰)のつくり出すホスピタリティあふれるトークの場によってとても楽しいインタビューになり、気がついたら2時間半くらい話し続けてしまいました。

他に森田恭道さん、橋本夕紀夫さん、グエナエル・ニコラさんらのインタビューが掲載されるそうです。「インテリアデザインの世界」を代表できるわけもない僕が入っていることで多少でもズレが生じればいいのですが。「建築雑誌」は学会の機関誌なので基本的には書店売りはありませんが一部購入可能らしいです。刊行されたらまたお知らせしますね。

身長158cm、体重43kg

これはやっぱり相当の衝撃です。

産総研、女性型ヒューマノイドロボット「HRP-4C」を発表

この記事を書かれたサイエンスライター森山和道氏のエントリーと合わせて読むとより興味深いです。

09/3 K.Moriyama's diary

第二回目のゲストは山形浩生さん

国立国会図書館(NDL)館長=情報工学者・長尾真氏のシリーズ対談d-labo talk session「図書館は視えなくなるか?―データベースからアーキテクチャへ」第二回目の概要が決まりました。第二回目のゲストは山形浩生さんです。大手調査会社に勤務のかたわら、広範な分野での翻訳および執筆をされているほか、ネット上のフリー翻訳プロジェクトであるプロジェクト杉田玄白の主宰としても知られています。

日程は2009年5月11日(月)で前回と同じく19:00スタートとなります。正式にはd-laboのサイトで告知されてそれからの申込になりますので、受付が開始したらお知らせします。

その山形浩生さんが翻訳されている(守岡桜氏との共訳)『「意識」を語る』をぽつぽつと合間に読んでいますが、様々な科学者や哲学者たちがそれぞれの立場から好き勝手なことを言っていて大変面白いです。著者(インタビューアー)スーザン・ブラックモアの突っ込みも相当
効いていますが、何よりも企画がいいですね。

「意識」を語る
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スーザン・ブラックモア
エヌティティ出版
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進芸術X

横浜赤レンガへ多摩美術大学情報デザイン学科の卒展『進芸術X』を観に行きました。情報デザイン学科の情報芸術コースって要は何でもありということだと思うのですが、けっこう偏っている印象を受けました。教授やゲストに来ていたアーティストたちが理解できない意識の外の、文脈を軽々と無視したようなものはなかったかなあ。今だからこそそういうものが出てきそうな環境だと思うのですが。でも、可能性を感じる作品もいくつかありましたし、楽しかったですよ。作者の方とシーソーにのって楽しんだり。

先日お会いした磯光雄さんの「電脳コイル」が第29回日本SF大賞を受賞されましたね。おめでとうございます。

日本SF大賞 テレビアニメが初受賞

SF Japan (2009SPRING)
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徳間書店
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「おまいら、ゲーム脳になれよ」

出張先の札幌駅近くの紀伊國屋書店で下記の本を購入。

『本人』という雑誌は購入したのは初めてで帰りの機内で読みました。巻頭がひろゆき氏の3万字超の手記「世界の仕組みを解き明かしたい」で、Chim↑Pomの卯城竜太氏の「ピカッの僕からピカの君へ」、堀江貴文氏の「就職しないで生きるには」と続くのですが、雑誌が久しぶりに面白かった。

創作がほとんど自己キャラクター創りにしかなっていない芸術家(作家)の物語・語りよりも、冷たく感じられるくらいにロジカルで「素」のトークの方が圧倒的に!おもしろいですね。そして、僕はゲーム脳よりゲーム身体になりたいのでした。

本人 vol.09
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ひろゆき 堀江貴文 宮藤官九郎 中川翔子 峯田和伸
北村道子 安永知澄 Chim↑Pom 岩井志麻子 小明
井口昇 吉田豪 中村うさぎ 海猫沢めろん
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ヤンキー文化論序説
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雪の舞う札幌へ

花粉舞う東京から雪の舞う札幌へ。本当に吹雪いていて寒かったです。

2008年3月18日札幌円山にオープンする「maruyama class(マルヤマ クラス)」inmercanto(インメルカート)の道内第一号店ができます。その引渡しのために久しぶりに札幌へやってきました。

「マルヤマ クラス」は札幌市中央区のメルパルク札幌跡地に三菱地所と丸紅が共同で開発した「レジデンツ・クラブハウス(暮らす人々のための施設)」です。たしかに円山は札幌では閑静な住宅街として大変人気が高いエリアなのですが、それにしてもこのネーミングはいかがなものでしょう。環境設計やテナント構成はさらに酷かったのですが、はたしてこれが円山のランドマークになりうるのでしょうか?地方のNSC(ネイバーフッドショッピングセンター)の状況も惨憺たる状況ではあるのですが、札幌のような地方中枢都市で三菱地所と丸紅が開発した施設がこんな状況だとはちょっとショックでした。景気の問題以前に当たり前にできることをただ単にやっていないだけということが多過ぎます。

時々吹雪く中、円山公園や円山動物園、北海道神宮辺りを歩きましたがいいところです、この辺りはー。

そして札幌といえばスイーツw今回はノースプレインファームの生キャラメル。大好きです!生キャラメルといえば花畑牧場のものが有名で新千歳空港あたりでは並ばなければならないくらいだそうですが、元祖はこちらノースプレインファームの方です。美味しいスイーツを真似してつくるのは一向にかまわないのですが、「うちが開発しました」と言わんばかりの田中某の厚かましい態度は非常に気持ち悪いです。

オヤジ

三鷹天命反転住宅へ。サルガッソーさん主催の豚の丸焼きパーティに参加してきました。元々、池上高志さんや岡田利規さんらと打合せをすることになっていたのですが、ちょうどこのような会があるからその場でやっちゃおうということでおじゃましました。豚の丸焼きはヴィジュアル的には相当濃かったのですが、味はジューシーかつあっさりで大変美味しかったですよ。

その場でアニメーターの磯光雄さんと初めてお会いしました。僕が「電脳コイル好きでDVD全巻持っています」と話したら、名刺の裏にオヤジを描いてくれました。さらっと描かれたのですが、オヤジがフルフルと動いているようにみえる素晴らしい画で感動しました。磯さんは現在新作に取り組まれているそうですがそちらも楽しみです。


電脳コイル オヤジ(M)
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電脳コイル (1) 通常版 [DVD]
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電脳コイル企画書
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磯 光雄
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OLEVA

なぜか毎年確定申告の時期は他も集中してしまう気がします。そこに花粉症も重なるわけでもう大変。そんな中、ぼくらを支えているのはこのアルバムだったー。

ATAK012 OLEVA
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Φ Mika Vainio
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新津保建秀さんの写真もセミトラ田中良治くんのデザインもかっこいいのですが、Mika Vanioの音は本当に秀逸。詳しい解説はこちらでどうぞ。

ポップ進化心理学

花粉症のために毎晩ほぼ一時間おきに目が覚めてしまうという状態なので、日中いつでも眠くて仕方がありません。昼よりも夜中の方が症状が酷いというのは花粉だけでなく他のアレルギーも含めた複合的なものなのでしょう。

そんな時にマイマシン(PowerBook G4)が突然死してしまいました。朝起ち上げるとメニュバーのバッテリーが×印になっていておそるおそるクリックしてみたら「使用できるバッテリーがありません」って。あわてて調べたらわりと起こる現象のようで、いくつか対応策をやってみたのですが回復せず。一度Appleのバッテリー交換プログラムで交換していますが、それからも随分経つからなあ。一瞬、これを機にMacBookへ買い替えようかとも思いましたが、それにしても至急バッテリーは必要なのでApple Storeで購入しました。このサイズ(12インチ)は現行にはないので携帯派の僕には貴重です。(重いけど)もう少し頑張ってもらいましょう。

日経サイエンス2009年4月号がダーウィン年ということで『進化する進化論』という特集をやっていているのですが、多岐にわたるテーマで大変充実しています。「ポップ進化心理学」と名指す哲学者の目線とかもねー。面白いです。

新しい時代の図書館

土曜日のことですが、新しい時代の図書館研究会第2回研究交流会@多摩美術大学図書館に参加してきました。神戸芸術工科大学の鈴木明さんや久慈達也さんらが中心となって立ち上げられた「新図書館構想ワーキング」の活動の一環として行なわれている研究会で今回が二回目となります。僕は初めての参加でした。

レポートがいくつか上がっていますので詳しくはぜひそちらをどうぞ。

開催報告...新しい時代の図書館研究会第2回研究交流会('09/03/03追記)

図書館という<場>

いっそ住みたいと思うような多摩美大図書館で新しい時代の図書館研究会第2回研究交流会に参加してきた

こういう場で常にヒール役をやるというのが芸風になってしまうのはいやだなあww設計者&運営者(利用者)の生の解説や報告を聞きながら実際の空間を見て触れるという体験は、特に図書館関係者のみなさんにとっては興味深い体験だったとは思います。ただその体験にはある種の初心さも大いに含まれており、そのまま強い建築のストーリーであの場が閉じてはまずいと思ったがゆえの「あえて」だったのですが。やっぱり人間を観る/考えるということと物語を語るということは違うと思います。ディスカッションだったかその後の懇親会だったか忘れてしまいましたが、僕の「あえて」に真摯に答えてくれた中山英之さんどうもありがとうございました。

多摩美の図書館に関しては今、港千尋さんや渡邉朋也さんらと別角度から企んでいるところです。この日のイベントそのものやみなさんと話したことがまたあらためて考えるきっかけになりました。いやー図書館って本当に面白いよ。