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設計/デザインを考える

『思想地図vol.3』刊行記念濱野智史×藤村龍至トークイベント「設計/デザインを考える」

に行ってきました。レポートもいくつか上がっていますので、詳細は以下のサイトなどをご参照ください。

BUILDING M 日記 - 濱野智史×藤村龍至トークイベント 「設計/デザインを考える」
kuro-nicle -chronicle- 「思想地図 vol.3」刊行記念 濱野智史×藤村龍至
Tip. Blog - ウェブ的? シミュレーション的 ?

ここでは私的メモのみ。

-ブログでの告知も含めて藤村さんの「建築への意志」は想像以上に熱かった。
-もしかすると「議論の場をつくる」ことは同世代ではもう無理だと思っているのかも?
-上記のために今日のトークイベントはまるで授業のようでした。
-対象者(主に建築系の学生)にとっては大変刺激的で面白いイベントだったのでは。
-このあたりの教育手法もまさに「超線形設計プロセス」ですね。
-「濃密さ」も藤村さんが繰り返し使うキーワード。
-濱野さんはこの日はほぼ聞き手になっていた。
-と思ったら最後に濱野さんは「批判的西村主義」宣言で存在感を示した。
-建築外の人々の建築に対する極度のウブさはやはり気になる。

これら今日気になったことや『建築雑誌』を起点に木曜日の藤村さんとの対談に臨みたいと思います。

架橋

先日のエントリーで書いた「グーグル的建築家像をめざして」の感想に藤村龍至さんご本人が言及されています。

6月28日、濱野智史さんと「設計」を語ります

李さんのインタビューは『建築雑誌』6月号の第1特集で掲載されていますが、「これで建築とインテリアの間にコミュニケーションは生まれるのでしょうか?」と問題提起。一度ゆっくりお話伺ってみたいですね。


で、僕がこれを読んだ直後に某媒体のプロデューサーから、藤村さんとの対談企画の依頼メールが届いてびっくり!藤村さんには二つ返事でOKをいただいたのこと。というわけで近いうちに対談します。僕も願っていたことなので楽しみです。

6月28日の藤村さんと濱野さんのトークイベントも行きますよ。

濱野智史×藤村龍至トークイベント「設計/デザインを考える」

インテリアを語る/検証「批判的工学主義」

日本建築学会の機関誌『建築雑誌 2009年6月号』が届く。<特集:インテリアを語る>でインタビューを受けています。

これで建築とインテリアの間にコミュニケーションは生まれるのでしょうか?最初に心配していたまなざしが根底に(個々ということではなく)あるように感じます。僕ももう一つの<特集:検証「批判的工学主義」>の方を読みますもん。せっかく2つの特集をやるのならば、その間を架橋しうるような建築家とデザイナーの対談を入れるとかすれば面白かったのでは。全く個人的な感想ですが。ただインテリア特集の方はあまりにも残念。

この<特集:検証「批判的工学主義」>や思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャユリイカ2009年6月号 特集=レム・コールハースなどで藤村龍至さんのテキストを集中して読む機会になりました。思想地図の「グーグル的建築家像をめざして」は、状況から解釈ではなく状況からプロセスを表した秀逸なテキストだと思います。それだけに藤村さんが建築における「いままさに発展する時間構造」についてどう考えるのか、また「建築家像」と建築家内部にあえてこだわっているようにみえる理由をぜひ聞いてみたいです。


思想地図〈vol.3〉<br />特集・アーキテクチャ

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ユリイカ2009年6月号 <br />特集=レム・コールハース
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「コミュニケーションデザインの未来」

連続トークセッション「コミュニケーションデザインの未来」第1回に行ってきました。

濱野智史氏が「アーキテクチャの生態系」その後ーということで「リアル」系サービスにおけるお互いの関心度をはかる機能としての「カギ」などいくつか新たな面白いお話はありましたが、本人も言っていたように半年で更新するというのはちょっと酷でしたね。「間ヒト」コミュニケーションとしてのARの可能性からコミュニケーションデザインへの展開は「また後で」ということでしたので、これから楽しみにしたいと思います。

終了後、大急ぎで霞が関へ移動してSign霞が関のオープニングパーティへ。トランジット文学部長(本当は執行役員です)岡田光さんと久しぶりに本の話で盛り上がりました。

濱野さんの「アーキテクチャの生態系マップ」を実空間にまで拡張すると面白いなあ。たくさんの人が集まってコミュニケーションしているSign霞が関で考える。


空間の際

建築の際という東京大学大学院情報学環・学際情報学府主催のトークイベントへ行ってきました。今回が最終の第5回だったのですが僕はこれが初めてでした。「空間の際」というテーマで、ゲストは建築家の原広司氏、数学者の松本幸夫氏、実世界指向インタフェース研究者の暦本純一氏のお三方。

物理的空間、社会的空間、情報的空間まではある程度重ねて考えることができるのですが、そこに数学的空間を持ってくるとアナロジーの罠に陥ってしまうか(松本氏の言うように)外界を全く必要としない数学的空間内=数学世界に閉じこもるしかなくなってしまう。なのですが、空間を考える人間にとって特に次元とか多様体といったトポロジーの世界は魅惑的で、つい誘われてしまうんですね。僕もかつて松本氏の著作よりも少し易しい『トポロジー:柔らかい幾何学』等を読んだりしていましたが、数学世界は遥かかなたでした。

原広司さんがこれまでも取り組んできて、この日のトークの最中でもしきりに考え続けていた「(位相)幾何学によって経験を記述できるようになれば建築や都市は全く描き換えられる」ということに少しでも可能性が生まれるとすれば、数学世界から外界へも軽やかに出てくることができる数学者が登場した時でしょう。それにしても「建築(空間?)は落ちるんだよ」と言いながら執拗に考え続ける原さんは素敵です。僕も京都駅の空間は大好きで、池上高志さんとやろうとしているプロジェクトを京都駅でやれたらいいなあと勝手に妄想したりしています。その件も含めてぜひ原さんともお話してみたい。

暦本さんはもう東京大学大学院情報学環がメインのようですね。今日は松本さんの数学世界に覆われてしまったのでhuman-computer-realworld系のお話はあまり聞けませんでしたが、暦本さんと原さんのガチのトークとかもまた別であれば面白そうだなあ。

終了後、先日の「建築雑誌」のインタビューでお会いしたぽむ企画の平塚桂さんに出会い、同じく「建築雑誌」の編集委員をされている建築史家の倉方俊輔さんを紹介していただきました。倉方さんは「非線形・複雑系の科学とこれからの建築・都市」という特集で池上さんにインタビューをされています。そんな微細なネットワークも発現した夜でした。

帰りに次元つながりでこれを購入。

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インテリアデザインの世界

日本建築学会の機関誌「建築雑誌」のインタビューを受けました。2009年6月号の「インテリアをめぐって」という特集ー。そもそも「建築の側からインテリアデザインの世界を」というまなざしが建築/インテリアの状況を現しているのでは、というやや攻撃的なお話をこちらから投げたのですが、インタビューアーの杉浦久子さん(建築家、昭和女子大学生活環境学科教授)と平塚桂さん(ライター、ぽむ企画共同主宰)のつくり出すホスピタリティあふれるトークの場によってとても楽しいインタビューになり、気がついたら2時間半くらい話し続けてしまいました。

他に森田恭道さん、橋本夕紀夫さん、グエナエル・ニコラさんらのインタビューが掲載されるそうです。「インテリアデザインの世界」を代表できるわけもない僕が入っていることで多少でもズレが生じればいいのですが。「建築雑誌」は学会の機関誌なので基本的には書店売りはありませんが一部購入可能らしいです。刊行されたらまたお知らせしますね。

LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009

最近時間の使い方が間違っているような気がします。修正しなければ。

先週末の土曜日になりますが、LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009に行ってきました。と言っても時間をとることができず、観ることができたのは最後のディスカッションだけでしたが。

イベント名:『LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009』

内容:「ライブ編集」というコンセプトのもと、会場にて建築家のレクチャー+インタビュー、その文字起こし、レイアウトなど、取材・編集作業をライブ形式で行い、フリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』を即日発行するというメディア型のイベントです。


「ライブ編集」初めて観ましたがこれは本当に面白い!そして単なるイベント+メディアではなくアーキテクチャとして機能している、とその場で実感しました。それだけに最後のディスカッションが解釈の話に終始していたようにみえたのは残念でした。「設計」の意味について考えるーのにそれではまずいよねえ。脊髄反射的に質問してしまいましたもん。しかし司会役の藤村龍至氏以外の建築家のみなさんには意味さえ伝わっていなかったようでした。僕の質問がちょっと要領を得なかったのは認めますし、レクチャーを観ていなかったということもあるので、コミュニケーションにすらならなかったのはやむを得ないかもしれません。

NTT出版の神部さんに藤村龍至さんとこの日モデレーターを努めていた濱野智史さんを紹介していただきました。濱野さんとは幾度か近接遭遇していたのですが直接お話したのは初めてでした。そこでも少し話しましたが、今日色々考えたことから新しい場が展開できればいいですね。

アーキテクチャと思考の場所

東工大で行なわれた公開シンポジウム「アーキテクチャと思考の場所」に行ってきました。

司会が東浩紀、登壇者が浅田彰、磯崎新、宇野常寛、濱野智史、宮台真司という濃い顔ぶれのためか会場は超満員。混むことが予想されたので早めに行ったつもりでしたが、30分前でかろうじて座れました。別会場で映像中継されたようですがそちらも座りきれないほどだったようです。

それぞれの話も後半は特に面白かったし、このシンポジウムのライブで進んでいる状況から「ジェネレーション」や「アーキテクチャ」の問題が立ち現れているという様は大変興味深く、もっと続けてほしいと思っちゃいました。あまりにも考えることがたくさん出てきたのですぐに全体を振り返ることはできませんが、断片的な感想を少しだけ。

磯崎氏が言う建築における切断について、元々建築には「解釈的切断」と「物理的切断」の二つの切断がありその差異は設計を考える上で大きな意味を持つと思うのですが、それはこのシンポでも意識されていなかったように思います。(その差異を意識的に重ねようというのが藤村龍至氏らなのでは?)それから、名前の出たグレッグ・リン以降進化や生成をテーマにアルゴリズム的思考やシミュレーションといった手法が様々な形で行なわれてきましたが、その多くがドローイング(モデルなどを含む)までしか、つまり物理的切断の前までしか作用していないという事実はしっかり認識した方がいいでしょう。濱野氏の言う「人工的自然」や鈴木健氏の言う「複数の現実」化といった状況が生まれつつある今(ユビキタスなどの技術的な話だけではなく)、ようやくそれが体験されうる「いままさに発展し続ける時間構造としての空間・環境」として創ることができると思います。それはやはり建築という枠の中からは生まれてこないのではないでしょうか。

と、まだ全然整理できていませんね。もっとじっくり考えてから何か機会があれば書いてみたいと思います。とにもかくにも、東さんの言う通りこのシンポジウムは大成功だったと思いますよ。

思想地図〈vol.2〉特集・ジェネレーション<br>(NHKブックス別巻)

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映像空間の可能性

商店建築2009年2月号に映像ディレクターの児玉裕一さんとの対談「映像空間の可能性」が掲載されています。この対談は他愛もない断片的な会話がとても楽しかったです。

「商空間を変える映像メディア」という特集なのですが、他に青木淳氏のインタビューが掲載されていたり、セミトランスペアレント・デザインDGNが「映像空間をつくるクリエーターたち」として紹介されたりしています。ぜひ、お手にとってみてください。

リアルアマゾン

年明けから『思想地図 vol.2』を楽しく読んでいます。メイン特集は「ジェネレーション」ということなのですが、『アーキテクチャの生態系』を読んだ後だと第二特集の「胎動するインフラ・コミュニケーション」に惹かれてしまいます。

ニコニコ動画のタグの仕組みを「タクソノミー」や「フォークソノミー」との対比から「フラクソノミー」と表現する濱野智史氏の論文は、環境=アーキテクチャ論として自著に続いて非常に興味深いです。そして、「ソシオフィジクスは可能か」と題された座談会は、内容としては次号vol.3に予定されている特集「アーキテクチャ」に繋がりつつ座談会のコミュニケーションそのものが今号の特集「ジェネレーション」に繋がるというなかなかアクロバティックな展開になっています。

この座談会でも出てきますが、アマゾンなどのネット書店はウェブ上であるからこそリアル店舗では不可能なほどの膨大な在庫を抱えることができるーという話。アマゾンは千葉県市川市に倉庫(物流センター)という形で物理的空間を持っているわけですよね。そしてそこで働く人々は日々膨大な量の注文に対して、在庫管理サーバに登録された在庫を携帯端末を使って効率よくピックアップしています。ということは決してリアル店舗でもアマゾンくらいの規模の店舗ができないわけではないと思うのです。もちろんそこにカスタマー用のインターフェイスは必要ですが、それも今の在庫管理システムの応用で可能だと思います。そんな既存の分類にも縛られないリアル店舗をまさにアーキテクチャとして設計すれば面白いなあ。絶対に。

1月28日に東工大で催される公開シンポジウム「アーキテクチャと思考の場所」も楽しみです。

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MY FAVORITE HOTELS

12月29日発売の商店建築2009年1月号で「MY FAVORITE HOTELS デザイ ナーが選ぶお気に入りホテル&旅館ベスト3」という新年号特別アンケート企画に回答しています。

僕が選んだベスト3は以下の通りです。

1.テルメ ヴァルス THERME VALS(スイス・ヴァルス VALS)

2.ザ・マーサーホテル THE MERCER HOTEL(ニューヨーク NY)

3.ザ・スタンダード ウェストハリウッド THE STANDARD WEST HOLLYWOOD(ロサンゼルス LA)

2や3に関しては回答する時の気分で別の答えになることもありますが、1に関しては必ずベスト3には入れると思います。ちなみに全体集計の結果は、パークハイアット東京(西新宿)、アマンダリ(バリ島)、俵屋(京都)の3つが同票数で1位でした。

ホスピタリティとか快というものは完全な受動性の中では立ち現れないと思いますし、グローバルな流れとしてのとにかく過剰な装飾+過剰なサービスといった方向には個人的にはあまり惹かれません。回答にも書きましたが「ゲームのようなホテル」を「ゲームのようにデザイン」してみたいです。

久しぶりに商店建築をじっくり読んだらBACH幅さんの連載「こんな本、どうですか?」が始まっていました。第一回目の今回はザハ・ハディッド Zaha Hadid設計の「Neil Barrett 青山店」のための書棚を提案しています。

アーキテクチャはデザイン可能か?

日本繊維新聞(nissen)というアパレル業界の専門新聞があります。2008年11月20日付けの日本繊維新聞のファッショントークというページに久しぶりに原稿を書きました。今回、編集担当の方の許可をいただき(ありがとうございます>佐藤さま)このテキストを公開させていただくことになりました。

日本繊維新聞 繊維・アパレル・ファッション業界のニュース&情報

ファッショントークと言いながらもファッションの枠に関係なく好きなことを書かせていただいていますが、日刊紙ですので瞬発性優先ということで今回はちょうど読んだところだった濱野智史氏『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』の紹介と感想を書いています。(基本的にはソーシャルウェアのヘビーユーザー未満の読者を想定しています)興味のある方は以下からどうぞ。


「アーキテクチャはデザイン可能か?」

「グーグル」の国内利用者数3090万人(2008年10月28日現在)、「2ちゃんねる」の利用者数930万人(2007年2月現在)、「ミクシィ」の会員数1500万人(2008年7月13日現在)、「ニコニコ動画」の登録者数930万人(2008年9月30日現在)。2000年以降に登場した主なウェブサービスの利用者(登録者)の数です。それぞれの利用者は多くが重複していると思われますが、それにしてもそれぞれがかなり巨大なコミュニティであるといえます。読者のみなさんも利用したことがあるか、利用したことがなくてもその名前を耳にしたことはあるのではないでしょうか。

最近出た濱野智史氏の『アーキテクチャの生態系—情報環境はいかに設計されてきたか』は「グーグル」「2ちゃんねる」「はてなダイアリー」「ミクシィ」「ユーチューブ」「ニコニコ動画」など、利用者の規模が「社会」にまで拡大したウェブサービス=ソーシャルウェアを「アーキテクチャ」として捉え情報環境を読み解こうという非常に興味深い—まさに今読みたかったー本です。

アーキテクチャとは一般的には「建築」や「構造」を指しますが、この本では情報技術(IT)によって設計・構築された、人々の行動を制御するネット上のウェブサービスを指しています。このアーキテクチャという概念はアメリカの憲法学者ローレンス・レッシグが『CODE』(2001年)という著書の中で論じたもので、「規範(慣習)・法律・市場に並ぶ、人の行動や社会秩序を規制するための方法」です。ちょっとこれでは分かりませんよね。この本では飲酒運転の問題を具体例として出しています。「飲酒運転=悪」という考えを教習ビデオ等によって再確認し、人々の価値観や道徳心に訴えかけるのが「規範」による規制。道路交通法による罰則が「法律」による規制。罰金を高額に上げるのが「市場」による規制。そして新しく導入に向けて検討されている「自動車にアルコールの検知機能を設置し、そもそも飲酒している場合にはエンジンがかからないようにする」という規制方法がレッシグの言うアーキテクチャです。濱野氏はこのレッシグの概念を継承しつつも、規制/抵抗という図式で議論を進めるのではなくアーキテクチャが持つ「いちいち価値観やルールを内面化する必要がない」「人を無意識のうちに操作できる」といった特徴を肯定的に捉え積極的に活用しようと多様なアーキテクチャのあり方をソーシャルウェアの生態系に分け入りながら模索していきます。僕はこのスタンスを全面的に支持します。そしてそれは濱野氏がこの本で対象としているネットのアーキテクチャだけではなく元々の意味である建築のアーキテクチャに関しても同様だと考えます。

この本では上記のソーシャルウェアのアーキテクチャとしての特徴がそれぞれ分析されていくのですが、やはり一番面白いのはニコニコ動画の「疑似同期」性についての論考でしょう。ニコニコ動画の特徴は動画の再生タイムラインを使って同じ現在を共有しているかのような錯覚(=視聴体験の共有)を疑似的に生み出すサービスであるーという指摘を最初に『Wired Vision』の濱野氏の連載「情報研究ノート」で読んだ時には正直はっとさせられました。アーキテクチャによって単に体験を生み出すのではなく体験の共有を生み出すということ、芸術作品(コンテンツ)が複製可能なのではなく<経験の条件>が複製可能であるということ。この分析はあらためて読んでも秀逸だと思います。

濱野氏は最終章で、これからのネットワークが隅々にまで浸透した社会において「ミクシィのように都市空間や集合住宅を設計し、ウィニーのように流通や再分配のシステムを構築し、ニコニコ動画のように現実空間にコメントを付与するようになるのかもしれません(「ニコニコ現実」)」と述べています。これらは僕たち(matt)が今までにプロジェクトとして取り組んできたことと大きく重なります。『not’ mansion』(2007年)は現実空間上のマンション(各住戸やパブリックスペース)とネットワーク空間上のSNSを可塑的レイヤー構造の連続するコミュニケーション環境と捉えて設計しマンションパッケージとして販売していこうという試みでした(このプロジェクトは残念ながら企画途中で消滅)。『sim. -as we may think-』(2004年)や『womb project』(2005年)は「ニコニコ現実」とまではいきませんが、現実空間にコメントを付与し距離の「疑似同期」を生み出したり、「ズレ」によるコミュニケーションの臨場感を作り出すという実験であり、コミュニケーションデザインの実装でした。

このような本、このような研究者の登場はこれからのアーキテクチャの設計&実装にとって有効な視座を与えるとともに、もう旧態のアーキテクトにはネットワークも建築も社会も設計できないということを示していると思います。これからはそれぞれの設計者・デザイナー・エンジニアと共に濱野氏のような情報社会の研究者や科学者などがチームを作りアーキテクチャを設計&実装していくことになるでしょう。それはこれまでもよくみられた異業種「コラボレーション」のような結果としてマーケティング的戦略にしかなりえないものではなく、アーキテクチャの生態系に取り込まれつつもその中で創っていくためにはもうそこからしか始まらない基点だと思います。そういう意味でもこの本はエポックメーキングな一冊になるでしょう。それからこの本はアーキテクチャの分析を通してのユニークな「日本社会論」にもなっています。それについてはこのボリュームの中では触れませんでしたが、社会論/文化論からみても楽しめる本になっています。みなさんぜひご一読を。

李明喜(mattキャプテン、空間デザイナー)
URL : http://www.mattoct.jp/


アーキテクチャの生態系<br>―情報環境はいかに設計されてきたか
濱野 智史
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多摩美図書館再訪

国立国会図書館(NDL)の倉重くんと共に多摩美の図書館へ。先日訪れた際に出た話の続きのオフミーティングと、かねてから倉重くんと多摩美図書館の渡邉さんらとで予定していた食事会が併せて行なわれました。メンバーは多摩美の港千尋さんと永原康史さん、それから多摩美図書館設計時の担当者(当時伊東豊雄建築事務所所員)で現在は独立されている中山英之さんと渡邉さんと倉重くん。

夜間の光の漏れ方と曲面ガラスへの映り込みがとても美しい多摩美図書館をぐるっと見た後、半外部的なカフェスペースでみんなで雑談的に話をする。カフェとして意図されながら利用されていないのはいい「建物」だけに非常にもったいない。そこを動かしてこそ本当の「つくる図書館」なのではないでしょうか。そのような観点で具体的なアイデア等を思いつきながら喋りました。

その後橋本のお寿司屋さんに移動したのですが、そこが多摩美教授陣の定番スポットらしく伊藤俊治さんらが既に盛り上がっており合流することに。その席で伊藤さんや港さんに聞いた1995年の建築デザイン会議 IN YOKOHAMAの話があまりにも凄くて面白すぎでした。あらためて荒川修作さんは無敵ですねえ。帰ってからネットでその時の情報を調べてみましたが、時期として微妙なせいかもしくは無かったことにされているのかw有効なものは見つかりませんでした。どなたか当時の映像を持っていらっしゃる方がいましたらぜひYou Tubeかニコ動にアップしてくださいませ。

さらにその後居酒屋に移動して情報デザイン学科の学生らも合流しての忘年会1.0とやらにも参加。前に座った学生にかんなぎの話とかしてしまい思いきりひかれまくって終了ー。

つくる図書館

打合せのため雨の中多摩美術大学へ。情報デザイン学科准教授でライト・アーティストでもある森脇裕之さんと光に関するプロジェクトの打合せ。森脇さんとはコマーシャルスペースのLEDによる什器等を一緒に造ったりしていますが、今回は環境/アーキテクチャにまで広がるお話。これから間違いなく照明は蛍光灯へそしてLEDへという流れになっていきますが、LEDを効率&エコという観点のみで塗り替え的に普及させていくのは絶対にまずいと思います。

せっかくの機会だったので多摩美の図書館を観させていただきました。2007年春に開館してから行こう行こうと思いながらまだ一度も来ていなかったので。図書館の渡邉朋也さんにじっくりと案内していただきました。

敷地の傾斜に合わせた床の斜面やダイナミックさと繊細さを併せ持つアーチや完璧と言っていいコンクリートとガラスの納まり等によって”つくる図書館”はとても気持ちのいい建築空間でした。これだけの建築でありながら情報アーキテクチャまで通しての設計・デザインになっていないのが残念です。ただ、この空間はある種の可塑性も持っているようなので継続するプロジェクトとしてつくれるのではないでしょうか。渡邉さんとそんな話で盛り上がりました。


泉パークタウン タピオ

出張で仙台へ。仙台は7年ぶりぐらい。今回は2008年10月16日にオープンする泉パークタウン タピオ内にできるinmercanto(インメルカート)というショップの引渡しでした。

泉パークタウンは仙台市泉区にある三菱地所が1969年(!)から手がける、総開発面積1,070ha、計画人口50,000人という広大なニュータウンです。都市景観の保全のため出店の規制が厳しいため周辺にはほとんどコンビニもありません。泉パークタウン タピオができるにあたっても地元住人からは反対の声も大きく結果フロアは地上2階(一部3階)になってしまったそうです。

泉パークタウン タピオはその中にできる三菱地所が運営するショッピングセンター(SC)。延床面積約49,000㎡(14,850坪)の中に約80の店舗が入ります。運営がパークタウンと同じ三菱地所なので街の開発の延長となっていて非常に清潔感溢れ上品にまとまったSCです。

mattがデザインを担当するinmercantoは「日常生活をもっともっと楽しもう....」ということでシンプルな普段着を提案しているレディース&メンズのブランドで今年の春にスタートしました。まだ店舗数は少ないですが、地方や郊外の中規模なショッピングセンター(SC)/ショッピングモール等を中心に少しずつ展開していく予定です。といってもinmercantoに関してはスタッフの森山さんが担当者として頑張っています。

このブランドを始めて現場として地方のSCを訪れたり普段でも都心近郊のSCに行ったり、SCに行く機会が随分増えました。東浩紀さんが言うように、SCにはこれからのコミュニティとアーキテクチャの関係について取り組むべき問題がつまっています。今はSC内の1テナントのデザインとして取り組んでいてそれもとても面白いのですが、本当はSCのアーキテクチャ全体のデザインに取り組んでみたいです。これでしかできない設計手法は用意してあるので、ぜひ!

それから仙台ではエスカレーターでは右側に立つのですね。関西だけだと思っていたのでびっくり。関西は大阪万博の時に欧米に習ったのが定着したと言われていますが仙台は何でだろう?

ライトノベル的 VS ケータイ小説的

ジュンク堂書店新宿店で開催されたトークセッション 東浩紀×速水健朗「ライトノベル的 vs ケータイ小説的」に行ってきました。速水氏の『ケータイ小説的。〜“再ヤンキー化”時代の少女たち』の刊行記念。

「政治の重層性・遍在性」についてや世の中に蔓延る言説の粗雑さへの苛立ちなど、東さんが様々な地点で繰り返している話から展開していきましたが、それらは一見関係がないように見えるこの日のタイトルに繋がっていくというお話。そして、ショッピングモールも同じく。二人ともショッピングモールマニアで、特に速水氏は業界紙(「SC JAPAN TODAY」かな?はっきり見えませんでした)を購読しているらしい。「世界共通のインフラとしてのショッピングモール」→プチブルの連帯(グローバル市民)→そしてマルチ・チュードへ、という話はもっと聞きたかったです。

今日も話に出てきた東さんと桜坂さんによるギートステイトの書籍化が実現したら2045年を舞台にしたギートステイトに登場するショッピングモールをデザインするという企画案があって個人的に相当盛り上がっていたのですが、プロジェクトそのものが休止したために残念ながら実現しませんでした。でもギートステイトで小説というフォーマットで実践していた手法を建築・空間デザインに部分的にでも取り入れてやってみたいという話は東さんにも繰り返ししていて、今日の話を聞いてその思いがまた高まりました。

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LEGGO 本のある生活@国立国会図書館

久々にVAGANCE/LEGGO 本のある生活の対談がありました。今回のお相手は国立国会図書館(NDL)の長尾真館長。ご多忙な中お時間を作っていただきました。

いつものLEGGOですと雑談の延長のような感じなのですが、今日は一時間という限られた時間だったので対談というよりも僕がお伺いしたかったことをどんどん聞いていく感じで進めました。話しは想像以上に盛り上がりあっという間に時間がきてしまいました。途中長尾館長の驚くべき発言もあり僕は激しく感動してしまったのですが、その部分はカットされるかも。長尾館長はやはり言語と経験の人でした。

対談終了後NDL内の通常は入れないような場所で長尾館長と共に撮影。

さらには貴重な本が保存されている書庫(みなさん「檻」と呼んでいました)も案内していただき、様々な稀少本を見せていただいたり

帝国図書館時代の発禁本の棚等も見せていただきました。今やベストセラー蟹工船の改造文庫版も発禁本の中にありました。

長尾館長は次の予定があり撮影終了時にお別れしましたが、その後もしばらく僕たちはNDLの最深部まで潜って探索。ここを本気で探索しようと思ったら10年くらい出て来れないのではないでしょうか。本当に楽しかったー。長尾館長、NDLのみなさんそしてVAGANCEのみなさん、本当にありがとうございました。

そして僕はNDLを題材に本(テキスト)と空間に関する本を創ろうと心に決めたのでした。

Street View ストリートビュー

ついに日本でも始まりました。

Googleマップの「ストリートビュー」機能、日本でも開始

よく探せば知っている人とかも見つかりそうですね。近所の目黒川は本当に桜のシーズン(満開ではありませんが)に撮っていたようです。
春の目黒川

改めてすごいですね。建築や空間をやっている人はもう無視できないでしょう、これは。Googleのアーキテクチャ事業の末端下請けになりかねないですよ。ハコ屋ーって今も変わらないか。その多くが無自覚なことも含めて。

磯崎新の「都庁」

一週間も遅れていた原稿の直しをようやく終えて送りました。ちょっとバタバタしていたのでなかなか手をつけられなかったのです。といいつつもEURO2008は毎夜(〜朝方)見続けていますねえ。すみません、すみません....。それにしてもオランダが調子のいい大会は絶対に面白くなります。ポルトガル、クロアチアを加えて三強というところでしょうか。

先日の丹下健三繋がりでこれを購入。いずれも絶滅していくであろう建築家の姿。今の磯崎さんは孤独でしょうね。

磯崎新の「都庁」<br>―戦後日本最大のコンペ
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cocoon

某プロジェクトの打合せのためにコクーンタワーの現場へ。

西新宿の高層ビル群に新たに加わる高さ203.65mのコクーン (繭)をイメージしたという建築物。建築主は学校法人モード学園で設計は丹下都市建築設計。

ダイアゴナルという特殊構造体で造られているらしいのですが、その規則正しい構造体ダイアゴナルにランダムさ(コクーンっぽさ?)を出すために構造とは全く関係のない意匠だけのためのテープ状の鋼材がはられているという、非常に残念な建造物。代々木第一体育館や東京カテドラル聖マリア大聖堂に見られる構造の生み出すフォルムの美しさやダイナミズムといったものはここには全く見られず。丹下健三さんご本人は亡くなられていますし、60年代に造られた作品以外は感心できるものはほとんどないので、そこに連続性はないのでしょうが。

丹下健三
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死ぬのは法律違反です

どうしても外せない打合せがあり『生命と意識の連続性について』荒川修作×池上高志に行くことができなかった。これはここ最近で最も楽しみにしていたイベントなので本当に残念。後で池上さんに聞きましたがとても楽しい会だったらしい。

荒川さんは建築ということを考え/創っている人でほとんど唯一の興味深い人です。トークでは暴走する印象がありますが著作では至極真っ当なことを書かれていて共感できる部分は多い。というか建築や空間を創っていて生命に関心を持っている人ならば(言語化できるかは別として)体験的に近しい意識を持つのは当然だと思います。そしてそれは池上さんの「いままさに発展する時間構造」にも繋がります。

個人的には三鷹天命反転住宅が実際に創られたということは相当な衝撃で養老天命反転地や奈義の龍安寺とは明らかに違う段階に行ったと思っています。天命反転住宅を体験してそれから著作を読んで考えてぜひ荒川さんに直接聞いてみたかったのですが、それはまたの機会に。

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階段=本棚

やられた。
MAKE:JAPAN「階段を図書室に」

こちらでもっと見れます。
the amazing staircase

我が家も何とかしなきゃ。でもこの階段既に一杯に見えるけどこれからも増えていく本たちはどうなるんでしょ。

本棚の歴史
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ARICAグランドオープン

トランジット中村くんとsign代官山で打合せ。都内某所にできる新signについて。今度のsignはちょっと大きめになります。

オープンはまだだいぶ先ですが建築基準法の改正の影響で設計業務を従来よりかなり前倒しで進めなければなりません。これはミクロなレベルでも非常にまずい状況で建築やインテリアの形式化がますます進んでオープン(竣工)した瞬間には死んでしまう建築や空間が今後も増えていくでしょう。今回の基準法の改正は脊髄反射的な改悪としか言いようがありません。

夜はARICAのレセプションパーティのためsign外苑前へ。

「独自のコンセプトとセレクトで世界中に提供していく“Japanメンズファッション” オンラインショップ『ARICA・STORE』活きた日本文化を世界へ発信する『ARICA・CULTURE MAGAZINE』ARICAは二つの顔を持つ、新しいオンラインメディアです。」

というARICAがグランドオープンしました。

僕はこのプロジェクトに関わってはいませんが、以前mattがデザインしたプロジェクトGRANBELL HOTEL SHIBUYAが当初トランジットさんプロデュースで進んでいてその時のコードネームが実は"ARICA"だったーということもありちょっと親近感を持っています。中村くんや廣澤さん、さやかさん等友人が多く関わっているというのもありますし。CULTURE MAGAZINEには渋谷くんも登場したりしているのでみなさん訪れてみてください。

パタン・ランゲージ

土曜日になりますが、ショッピングモールや複合商業施設のリサーチのために豊洲から有楽町、銀座あたりをまわりました。デザインという装飾に過剰に空間を埋め尽くされた感のある都心の商業施設と「人間工学」的プログラムによって構成されたショッピングモールとの空間の質の違いがあまりにも大きいことをあらためて体験して驚く。

ショッピングモールの設計手法はアレグザンダーの「パタン・ランゲージ」的プロセスに近いようにみえます。例えば今日みたショッピングモールでも「複合建物」「階数」「見えない駐車場」「段階的な動線領域」「南向けの屋外」「光の入る棟」「子供の領土」「待ち合わせ場所」等々のパタンが見いだせる。設計者が意図しているのかそれとも固定化したパタンがマニュアル化されてきたものなのかは分かりませんが。

パタン・ランゲージ
パタン・ランゲージ
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クリストファー・アレグザンダー 平田 翰那
鹿島出版会 (1984/11)
売り上げランキング: 109021

で、銀座に行ったのでようやく渋谷くんがやった信号の音を某交差点で体験してきました。これはすごく面白い!試みです。都市を、街を創るといった時に一つのエレメントや一つのメディアのみで徹底的にやるという方が面白いのでは。というかそれしかできないんじゃないか。都市の音環境だけを徹底的に創り換えるとか。それから個人的にはやっぱりこういう届きそうもない場で何かを創ることの方が好きです。体験する上でも自分が創る上でもね。

calm technology

これは面白い。

expanding a vineyard in Fläsch フレッシュのワイナリーの拡張

Bearth & Deplazes Architektenとチューリヒ工科大学建築およびデジタルファブリケーション科との共同設計によるワイナリー。これは多くのアルゴリズム的建築=設計のためのコンピュータ/プログラムとは明らかに違います。産業ロボットによってシミュレーションと実装(施工)が繋がる。

さらにロボットを建築の構造そのものに取り込んだらより面白くなりますね。それとは気づかせない『calm technology(by Mark Weiser)』として。

GRANBELL HOTEL SHIBUYA


photo by takayuki muto

GRANBELL HOTEL/hotel(shibuya tokyo/2006)

クライアント:株式会社ベルーナ
建築設計:株式会社都市デザインシステム
空間デザイン&インフォメーションデザイン:matt

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表参道のアルスギャラリーへ『DEROLL Commissions Series 1:箱』という展覧会を観に行く。デザインニュースサイトdezain.netを主宰されている岡田栄造氏の企画で、5人の建築家による「箱」をテーマとした作品の展示。岡田さんはHAPPENINGを始めた頃からの知り合いで、デザイン界では珍しくw真摯で信頼たる方です。最終日ということで忙しそうだったのでちらりと挨拶だけして出ました。

その足でオープンしたばかりのGYREに行きましたが、中に入ってみてもやっぱり”商業建築”らしい商業建築でがっかり。ビルの中を動きまわってみても全く”渦”は起こりませんでした。単独のブランドと複合ビルという違いは大きいのでしょうが、建築におけるプログラムを実装することにおいてHerzog & de Meuron(PRADA)>>>>>MVRDV(GYRE)くらいの差を感じた。

都内某所で朝までかかって準備した件のプレゼン。ネーミングも含めて非常に前向きな展開でした。楽しみなプロジェクトが楽しいチームで動き出します。今は何も書けませんが進捗に合わせて少しずつ情報を公開していきたいと思います。

帰りに表参道のGYREを観る。11/2にオープンということで内覧会らしきことをやっていましたが中には入れず。MVRDVの東京初プロジェクトです。建築途中の何だか分からない”ねじれた黒い塊”状態から仕上が施されて外観を観ているだけでは”商業建築”になっていました。MVRDVがただの”商業建築”を創るわけはないでしょうし、『渦』がテーマというのも気になるので早く中に入って動いて&留まって体験してみたいですね。

DesignTide in Tokyo 2007のオープニングパーティに行こうかなと思いましたが、疲れていたのでやめる。どうも閉じた盛り上がり系は苦手です。Tokyo Designer's Week 2007も含めて色々催されるようですが、せめて友人関係の展示等には顔を出そうかなと思っています。

こういうモードの中で謳われている領域としての『デザイン』と僕が日々考えている『デザイン』=領域に関係なく広がりつつある『デザイン』が創造される環境との間のズレはどんどん大きくなっている。領域としての『デザイン』はその領域から外れるものをないものとする、視えないかのようにーいや本当に視えていないのでしょう。日々創っている分にはなんら関係ありませんが、コミュニケーションとしての息苦しさは否めません。僕のコミュニケーション力にも問題があるのかもしれませんが。

design pod by NIKE

design pod by NIKE/office(tokyo/2004)

クライアント:NIKE Inc.
コーディネート : 前田亮介
建築・空間デザイン:matt
special thanks:Semitransparent Design

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LIFE - fluid, invisible, inaudible ...

《LIFE - fluid, invisible, inaudible ...》を観にICCへ。前日にライブもやっていましたが、申込が何だか面倒で行きませんでした。元々YCAMの委嘱作品として制作され今年の春発表されたものですが、残念ながらYCAMへ行くことはできなかったのでICCで観れることになってよかった。

素晴らしいインスタレーションでした。特に高谷史郎さんによる映像は映像体験の多様性を拡張したと思います。人工霧、水、アクリル、床面と鑑賞者の身体。これらのスクリーンの部分と全体の現象と映像のデータベースとランダム性、そしてゆらぎによって生成される映像体験+音響体験はそれが「生命に気配」かどうかは別にして未知の体験でした。

ただ、時間や空間のリニア性が逃れようとしながらも物語への志向は持ち続けるところには僕は違和を感じる。それから一度鑑賞者が9つの水槽の下全てでぎっしり寝転がってしまってなかなか動かないとこのインスタレーションの楽しみは減少してしまう。寝転がったゆっくり観ることもできるし動きまわりながらも観れるという自由度を持つというオペレーションは不可能なのかな。

その後表参道あたりを歩きましたが、MVRDVによる表参道のビルが仮囲いも撤去されその姿を現していました。

前に見たCGと印象が違う感じがしますが、完成が楽しみですな。

夜はBENOITへ。誕生日ということでご馳走になりました。

特にアマダイのロティとデザートのキャラメルのグラスが美味しゅうございました。昔から誕生日というものに全く特別な感情を持っていませんが、こうやってお祝いしてもらえるというのはとても有難いことです。ご馳走さまでした。

ヴォーリズ建築

トランジット木村氏と共に出張で神戸&大阪へ。仕事で関西に来るのは久しぶりです。2005年にトランジットと共に創った二つのカフェプロジェクトのヴァージョンアップが目的です。まずは大丸神戸店の別館GENIUS GALLERY2階にあるGENIUS CAFEへ。

写真ではほとんど分かりませんが壁全面にsunday-visionによって神戸の山や海が描かれています。現場でコーヒー飲みながら木村さんとヴァージョンアップへの打合せ。

続いて大阪へ移動して大丸心斎橋店へ。こちらは天井桟敷のような不思議な中二階空間に創ったcaffera GALLARIAというカフェです。

下の化粧品売り場から見上げるとこんな感じですが、天高が2mしかなく梁下だと1.7m弱しかありません。ほぼ「マルコヴィッチの穴」空間で面白いです。大丸心斎橋店はヴォーリズによるアメリカンゴシック&アールデコ(!?)建築で有名です。

打合せと現調を終えて堂島ホテルへチェックイン。ここはトランジットがプロデュースしたホテルで僕は今回が初めてでした。既存の建築をベースに内装やテナント等を構成し直したという空間はアプローチ及び動線展開がよくできていますね。CLASKAが「遊び場としてのホテル」なのに対してこちらは「ホテルとしての遊び場」という感じ。こういうホテルもバリエーション色々で東京にもできればいいのに。

トランジット菅野氏も加わって堂島ホテル内の中華レストランで食事。残念ながらレストランの味、サービスは今ひとつ。その後さらにトランジットとお仕事をされている岩本さんらも加わり堂島倶楽部で3時過ぎまで大いに飲んで(僕はノンアルコールですが)大いに話して盛り上がる。

MVRDV東京見参

今日も朝からd-laboの現場へ。工程としては床を貼り始めている段階です。

途中meltingdotsのデジタル番長こと船戸さんも来て現場の写真をバシャバシャ撮っていきました。あ、「何でデジタル番長なんですか?」って聞こうと思っていたのに忘れた。

午後から急遽北山創造研究所の松岡さんに呼ばれて原宿某所で打合せ。終了後リサーチ兼ねてその周囲をぐるぐる徘徊して渋谷まで歩く。表参道の動きがダイレクトにキャットストリートやさらに細い路地にも現れてきています。それからキャットストリートの出口にはMVRDVの建築がついにできますね。東京ではこれが初めてになります。

彼らのサイトでこのプロジェクト(omotesando)のCGも見れます。数年前やはり原宿のあるプロジェクトで建築MVRDV+インテリアmattの組み合わせでやるというチャンスがありました。彼らはプロジェクトそのものや僕たちと一緒にやることにもすごく興味を持ってくれたのですが、スケジュールがどうしても難しくて(というか与えられた時間がいいものを創るためには全く不可能な代理店的スケジュールでした)残念ながら断念したということがありました。結局そのプロジェクトは別の建築家+デザイナーのチームがやったのですが、あまり動的なコミュニケーションを生んでいるようには見えません。


図書館

午後からd-laboの打合せ。最初はメディア展開について尾崎さんらと。マーケティングとしてではなくデザインとして考えます。

引き続いて全体定例ミーティング。ユーザーが触れる部分=コミュニケーションの部分について。不確定性を不確定性のまま受け入れて創っていかなければなりませんが、それが本当に難しいところです。他にはセッションの企画について。ずっと難航していましたが、ようやく前に進みそうです。

終了後、晋くんと幅さんと三人で図書館の話で盛り上がる。今回が第一弾になる『ハイパー・ライブラリー』は今後増殖、進化していくことで新しい図書館を環境として創っていけると思います。それ以外でも図書館プロジェクトは本当にやりたい!建築やインテリアだけではなくアーカイブも含めたトータルシステムとしての図書館。幅さんと図書館プロデュース&デザイン・ユニットでも結成しようかな。で、目指すは国立国会図書館の全面リニューアルプロジェクトだ!

今行ってみたい図書館はレム・コールハースのシアトル中央図書館とヘルツォーク&ド・ムーロンのコトブス工科大学図書館です。

d-labo@midtown現場日記002

工事は今のところ順調に進んでいます。今日は最初の重要ポイントであるエントランスの骨組み確認。

骨組だけだと何だか鳥小屋みたいですね。ドームの形状、ボリューム共問題ありませんでした。竹中のみなさんに散々おどかされていたので、想定通りにできているのを見てほっとしました。(というかこれは竹中の心理的戦略かw)ディテールの注意点だけ施工サイドと再確認。

天井の骨組みもかなり進んでいます。これから壁の骨組みも建ってくるとボリュームが現れてきます。

現場の帰りに撮った共有トイレのインフォメーションサイン。インフォメーションも行為のデザインなのになーと思う。

荒川修作×池上高志@三鷹天命反転住宅

三鷹天命反転住宅で開催された「 トークセッション荒川修作×池上高志」に行きました。

武蔵境の駅で偶然池上さんに会い一緒にタクシーで現地へ。池上さんはここのところ体調不良が続いていて今日も点滴をうっての登場でした。(ご自愛ください)早めに着いたので今日のトークショーでオブザーバーを務める鈴木健さんの部屋を見させていただきました。鈴木さんは三鷹天命反転住宅の一住戸をSOHOとして利用されています。僕は荒川さんの建築作品を体験するのは初めてで、写真で見ている限りでは「『建築する身体』とか言いながら、どうしてあんなにモノの形状や色に依存した創作になるのだろう?」という疑問を持っていました。使用法に従って静かにゆっくりと入り、歩いたり転がったり立ち止まったり耳をすましたりしていくうちにそのような疑問は消えました。建築や空間を写真で見るという事と実際に環境体験するということは全く別の体験であるというごく当たり前のことを強く追認させられました。

トークセッションもこの三鷹天命反転住宅の一住戸で荒川さんそして池上さんと鈴木さんを囲むような形で行われました。荒川さんのトンデモ系の脱線や様々な荒川語に惑わされそうになりますが、創作へのロジックは実はとても分かりやすく共感できるものでした。表現形態もスケールも大きく違いますが『バリアアリー』、『グラウンド』等という概念で思考・創作してきたことと近似だと感じました。

そんな荒川さんに対して池上さんは内容を緩めて共通項を見つけるのではなく、より鋭利に迫りながら接続していくという感じですごく面白かった。池上さんと鈴木さんが言っていた、チューリングマシンを超える計算機をぜひ建築や空間創作の中に取り込んでいきたいですね。それから免疫の問題はこれからじっくり取り組みたい問題です。終了後ドリンクを飲みながら歓談。この環境でというのも大きかったと思いますが、すごく楽しかった。次はもっと長い時間を過ごしてみたいです。

武蔵野美術大学講義

今日はATAKの渋谷慶一郎くんと武蔵野美術大学のゲスト講義に行ってきました。池上高志さんの「オートポイエーシス」という講義で一応お題は「音の建築、音のデザイン、サウンドアート、サウンドスケープ、立体音響....」。池上さんの車で東大の学生の成田くんを含めて4人で行ったのですが、ムサビ遠いですねー。

講義の前半の90分はほぼそれぞれがやっていることの話で終わってしまいました。後半は浅田彰を超えると目される男成田くんの仕切りで池上さん、渋谷くん、僕の3人で話す。話題は、創るという行為そのものについての話からインスタレーションとライブや建築とオートポイエーシス、荒川修作とヘルツォーク&ド・ムーロン等。渋谷くんなんて池上さんに向かって複雑系の現状をざくっと斬っていましたよ。僕は久しぶりにこういう場で話したのですが、うーん...全然言いたい事が瞬間瞬間で言い切れなかったなー、というか脳の運動能力が少し鈍っているような気がしました。いかんですね。脳も身体ももっともっとトレーニングしなきゃね。池上さんも言っていたけれど渋谷くんはどんどん話すのも上手くなっています。聞いていてもこうやって一緒に話していても面白い。

学生のみなさんはとてもまじめそうでしたがちょっと反応がなさ過ぎる気がしました。最後の「部分をとにかく創るだけだ」という話だけでも届いていればいいのですが。僕の運動能力はまあ置いておいて、ああいう場で話すということは自己を更新するとても心地いい運動になります。ありがとうございました>池上さん

耐戦闘機壁

GIGAZINEで見つけたのですが、これは凄まじい!
http://www.youtube.com/watch?v=--_RGM4Abv8
F4ファントムが木っ端微塵って....目を疑ってしまいます。一体この壁の素材・構造そしてコストはどうなっているのでしょうか?原子力発電所以外の一般の建築物にもこの壁の強度レベルを求められるようなーそんな恐ろしい社会にはならないでほしいものです。

夜、松本くんとbistro mother moonで食事をしながら打合せ。プロジェクト全体の動的ネットワーク創りについてのお話等。まずは北海道と農業のリサーチから始めましょうか。

建築本

トランジット中村くんとsign外苑前で打合せ。いろいろ楽しみな種はありますが、まずは一つ一つのプロジェクトを深く高く!

帰りに青山ブックセンターで建築本を2冊購入。一つは見えない震災―建築・都市の強度とデザイン。これは平山洋介の文章が掲載されていたので即決。'03年にニューヨークへ行く機内で読んだ不完全都市―神戸・ニューヨーク・ベルリンがすごくよかったので。もう一つは歪んだ建築空間―現代文化と不安の表象。目次を見ただけですがこれもおもしろそう。

ブタすごいピンチ!!

現場調査と打合せのために都内某所の建築現場に行ってきました。ゲートで厳重なチェックの上長い通路を経てビル内に入るのですが、その長い通路内に現場で働く人々に向けた標語(?)が点々と貼ってあります。それらが何とも味わい深かったのでご紹介しましょう。

ブタまじでやばいですね。
まだまだ続きます。

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スケーターとミース

今日は朝一番からの打合せに始まり、打合せの連続でした。打合せの用にクローンか分身の術がほしい。(また言ってる)

スケートボーディング、空間、都市―身体と建築をパラパラと読んでいます。その中で「(ミース)ファン・デル・ローエの広場にある磨き上げられた大理石の平面が、シカゴのスケートボーダーたちにとってのメッカである」という記述がありました。昨年ベルリンを訪れた時にミースの新国立ギャラリーに行くと閉館中で人はいなくて中身も空っぽだったのですが、敷地内で2、3組のスケーターたちがやっていました。その時にまさに空っぽで開けた新国立ギャラリーとスケーターたちが絶妙に合っているように感じたのですが、スケーターにとってミースの空間は「自然な芝生」なのだそうです。カルスタとか抜きにして素直に空間論として面白いです、この本。にしても本の中身と装丁が全く合っていませんね。こういう本がそもそも重いということにも問題ありますが。

生きていく建築

久しぶりに原宿方面を歩いていて明治通り沿いに不気味なビルを発見。ガラスの多面体でよくあの場所で施工したなーという感じなのですが。調べてみるとThe Icebergという複合商業ビルでメディアでも紹介されていたようです。
http://www.japan-architect.co.jp/japanese/2maga/sk/magazine/sk2006/sk07/work/17.html
うーん、これから動き出すビルなのに既に死んでいるように見える。まだテナントが決まらないのかどうか分かりませんが新しい廃墟に見えました。

その後TOD'SやdiorやONE表参道やPradaを見たのですが、Prada以外はどうにも賞味期限切れに見えてしまう。Pradaはあの場所に造られてから動態として生き続けているように見えます。(芝生は枯れちゃったけどね)この建築はヘルツォーク&ド・ムーロンにとっても新しい段階に踏み出した作品だと思います。構造と表層、そして内部空間やオペレーション、人やモノの流れ等の異なるレイヤーが見事にプログラムされていているなーと改めて感心したのでした。

BAY QUARTER

8月24日にオープンするBAY QUARTER YOKOHAMAのレセプションパーティに行ってきました。このプロジェクトのプロデュースを担当された北山創造研究所さんからのお招きで。横浜はかなり久しぶり。元々三菱倉庫だったというその場所は、海を感じ、風を感じ、空を感じ、夜を感じ(コピーにならってみました)ー本当に気持ちよかったです。いつも言うようにどんな空間もオープンしてからがスタートですから、これから人や店舗や情報が環境と絡み合いながらどのようなダイナミズムを生み出すのか楽しみですね。

みなとみらい方面に開けていて、眼下をシーバス・マリーンルージュが滑っていきます。

ローレンス・ハルプリンとJ.ジェイコブズ

notosで新プロジェクトの打合せ。アニキ廣澤さんを中心に軽くスパーリング。ローレンス・ハルプリンというランドスケープ・アーキテクトのことを初めて知りました。ローレンス・ハルプリンはまちづくりや環境デザインのプロセスにワーク・ショップを採用し多様な市民の意見・考えについて合意形成しながら進めましょうーというようなことを提唱したそうです。でも、そのようにプログラムできるような単純な問題ではないと思いますが。特に都市においては意見・考えを示せない、もしくは持つこともできない市民もいます。今まで掬えなかったものをより大きくより広い容器で掬いましょうーという発想には危険なところがあります。どんなに容器を大きく広くしても掬えないものが必ずあるということが隠蔽されやすいから。見えない、見えにくい部分にこそ重要なことが隠されています。(もちろんローレンス・ハルプリンについてはもっと学習します)

というわけでやはり都市の考察としてはJ.ジェイコブズ(今年4月に逝去)のアメリカ大都市の死と生。早く山形浩生氏によって全訳されることを希望します。

SUPERSTARS


photo by tetsuya yamamoto

SUPERSTARS/hair salone(daikanyama tokyo/2002-2003)

クライアント:有限会社 ピープル
建築・空間デザイン:matt
サウンドデザイン・システム:ATAK
webデザイン・システム:Semitransparent Design
センサー・デバイス:MATHRAX

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都市の余白

打ち合せで東雲のキャナルコートCODANにあるTRICO DESIGN LOVE!へ行く。TRICOの代表佐伯氏とは僕がmattを始める前からの友人で、デザインユニットAIRCONDITIONEDのメンバーとして一緒に活動もしています。デザイン(に限りませんが)を本気で探求し続けようとすることは実はとても孤独な道程なのですが、そんな中で佐伯氏は「よしまだまだ僕もできる、もっともっと僕も創りたい!」と思わせてくれるデザインの界隈では非常に希有な存在です。

そんな彼が原宿から東雲に移ると聞いた時は驚いたし、今でも「遠いなー、何でここなんだろー?」って来るたびに思ってしまいます。元々三菱の軍需工場があったこのエリアは都心とは違って道幅は広いし人もまだ少なくて余白が一杯あります。それには可能性を全く感じないわけではないけれど、結局従来通りの二十世紀的な都市開発に余白が潰されていくことは容易に想像できます。しかし、原宿でもデザインの実践を通して独自のフローを起こし続けた佐伯氏が何らかの企みを持って東雲へ移ったことは間違いありません。従来通りの大規模都市開発からは単なる消費しか生まれません。それとは違う位相から街の生産力・創造力へつながる機会が生まれます。

TRICOの活動、東雲のこれからに注目したいと思います。

八雲立つ...

私用で実家のある出雲へ。15年ぶりくらいに近くの出雲大社に行ってきました。たまたま神社の系譜 なぜそこにあるのかを読んだりしていたので。自然暦という視点で神社の系譜をたどった本。本当は出雲大社と自然暦で結ばれた日御碕神社とかにも行ってみたかったのですが、時間がなくてかなわず。

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GRANBELL HOTEL SHIBUYA 内覧会

今日は朝からずっと、mattがインテリア・インフォメーションデザインを担当したGRANBELL HOTEL SHIBUYAの内覧会でした。とは言っても建築設計・監理を担当した都市デザインシステムの主催でしかも急遽決まったので、mattからはごく一部のプレス関係者しか案内できませんでした。

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ホテル無限大 project 000

子供の頃、無限について想像することは畏敬と恐怖を伴う体験で、それがなぜかとても魅惑的でした。考え出すと止めることができず明け方まで眠れなくて、恐怖で泣きそうになりながらでもわくわくしているーということが度々ありました。その時考えていたのは空間的無限と時間的無限です。「宇宙の果てはあるの?その先は?」「時間の始まりって何?始まりのその前はないの?時間の終わりは?」ってやつです。それからもずっと無限について想像し続けていますが、何も分かった気がしません。
最近特にまた無限ブームなのですが、現実空間=情報世界であると考えれば無限ということが少しは捉えられるかもしれません。そこで僕は「ホテル無限大」プロジェクトを企もうと思います。「ホテル無限大」とは数学者ダーフィト・ヒルベルトが考えたとされていてジョージ・ガモフの1,2,3…無限大やジョン・D・バロウの無限の話等にも出てくるお話です。無限な数の部屋のあるホテルで全部部屋がふさがっていてそこに独りの客が来るとホテルの主人は「満室ですが、用意できます」と答えて、1号室の客を2号室に、2号室の客を3号室に、3号室の客を4号室にと順々に移していき、空いた1号室に新しい客を入れてやる。そして今度は無限な数の新しい客が来て.......というお話です。で、これをプロジェクトにしていきたいと思います。前準備として時々(忘れたころに)ここに記録していきますので、興味ある方、賛同される方はコメントください。幅広い研究+創造になります。このサイトに現在開発中のmatt | atlasシステムが実装されれば、プロジェクトを共同創造できるプラットフォームになる予定なので、そこで本格的に進行させていきます。

バロウは「ホテル・ゼロ」を考え、そこのバーではジョン・ケージの「4分33秒」がエンドレスで聞けるーと書いているけれど、「ホテル無限大」での音はどうしようか?>渋谷くん

スタジアムのデザイン

あらゆるところで書かれていてもううんざりという方も多いでしょうし、サッカーなんて全く興味なくて迷惑にさえ思っている方もいるでしょうからここで書くのはやめようかと思いましたが、やはり書かずにはいられません。ドイツW杯がついに始まりました。本当はドイツのディフェンスの脆さだとかポドルスキの左足の凄さとか書きたいのですがぐっとおさえてデザインのことをースタジアムのデザインについて少しだけ書きます。

開会式から引き続いて開幕戦のドイツ×コスタリカが開催されたミュンヘン・ワールドカップスタジアム(通常のリーグ戦使用時の名称はAllianz Arena/アリアンツ・アレナ)。白く光っていましたね。

http://www.allianzarena.jp/

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